2021年12月20日月曜日

展示遺物の3D撮影方法メモ 3D model shooting method of exhibited relics

 I made a note of how to shoot a 3D model of the relics on display in a glass showcase. The purpose of creating a 3D model is to create learning materials. It is not for research or appreciation purposes.


博物館等においてガラスショーケースに納まった展示遺物の観察記録3Dモデル作成方法について、これまでの体験に基づいて技術メモを作成しました。現状技術レベルを記録しておき、後日の参考にするためです。

ショーケース越し(ガラス面越し)に撮影して3Dモデルをつくる目的は、自分自身がその遺物をより詳しく観察するためです。自分自身の学習資料とするためです。その遺物の3Dモデル「作品」をつくり、研究や鑑賞目的に供するためではありません。

1 撮影マナー

写真撮影が許可されていない場合は許可をとります。

場所独占により他の観覧者の邪魔をすることにならないように、工夫します。自分がこれまで撮影したほとんどの館は平日の午後3時から閉館時刻(4時30分とか5時)までの間は他の観覧者がほとんどいません。従ってこの時刻に訪れます。特に雨の日は観覧者ゼロの確率が高まりますからラッキーチャンスです。

2 撮影方法

2-1 出来るだけ多数写真を撮影する

対象物を設定したら出来るだけ多数の写真を撮影すると3Dモデルの質が向上します。自分は最初30枚から40枚の写真を撮影して3Dモデルを作成していましたが、その後徐々に増えて現在ではショーケースの隅にあるものは100枚弱、ショーケースの中央にあるものは200枚程度撮影しています。

2-2 撮影は一筆書きの要領で撮影する

フォトグラメトリーソフト(自分は3DF Zephyr Lite)は連続多数写真の解析が基本です。従って一筆書き要領で一気に全部撮影します。

2-3 ガラスに反射する影や光源、障害物を過度に避けない

ガラスに反射する影や天井の光、あるいはガラス戸扉やショーケースの梁など写真に含まれる「邪魔物」「不純物」を避けるかどうかという問題があります。写真枚数が少ないとき(例 数十枚)は微妙なカメラ位置操作で「邪魔者」「不純物」を避けられれば避けた方が良い結果となります。しかし、写真枚数が多くなると、逆に「邪魔物」「不純物」を避ける操作が(おそらく規則的複合的に大きなカメラ空白域を生み出して)円満なカメラ配置に悪影響を与えるようになり、悪い結果となることがあります。総合体験的には「邪魔者」「不純物」を過度に避けない方が良い結果となります。


ガラス面反射例 A


ガラス面反射例 B


邪魔物例 ガラスドアの重複


邪魔物例 ショーケースの梁

2-4 可能な限り撮影死角を狭くする

展示物背後が壁になっている場合、どうしても撮影死角が生まれます。この撮影死角を出来るだけ狭くすることが大切です。そのため、背後にせまるためにこれ以上カメラを移動できないという限界付近で撮影を密にすることが大切です。立体像を結像するには同じポイントを最低3枚撮影が必要ですから、限界付近の撮影密度を増やすことでより背後までせまることができます。

可能な限り背後まで撮影した場合とそうでない場合では仕上がり3Dモデルに大きな差がでることがあります。


通常撮影 背後結像が欠ける


可能な限り背後まで撮影した場合 背後結像は不十分であるが、見栄えは良い


上記例を正面から見た場合

3 ショーケースの近くにスケールを置いて撮影する

ショーケースの縁や近くの床にスケール(例 ファイバー製折尺)を置いて、それが写真に写りこむように撮影すると、3Dモデルに実寸法を付与できます(3DF Zephyr Liteの場合)。3DモデルをBlenderに投入すれば各種計測(長さ、面積、容量等)が自由にできるようになります。実寸法を付与した各種モデルを同じ3D空間に置いて比較することもできます。

4 ソフトによる調整

フォトグラメトリーソフト(例 3DF Zephyr Lite)では、作成した3Dモデルの穴埋め、ゴミの除去、テクスチャに焼き付いた光源ハレーション除去などを行うことができます。


3Dモデルのテクスチャに焼き付いた光源ハレーションの例 C


3Dモデルのテクスチャに焼き付いた光源ハレーションを除去した例 D

上記写真AとB2枚を含む3DモデルがC、AとBをテクスチャから除いた3DモデルがD。(3DF Zephyr Liteの場合)

(このモデルでは光源ハレーションの写った写真は他に沢山あるが、3Dモデルのテクスチャに影響するものは少ない)

5 参考 撮影画像処理

自分は次のようなカメラ設定と画像処理をして3Dモデルを作成しています。

画像処理した画像を使って3Dモデルを作成することにより3Dモデルの解像感を向上できます。

●カメラ OLYMPUS OM-D E-M-5 MarakⅡ ブラケット撮影(5種アートフィルター撮影 主にポップアート画像を利用)

●画像処理 Photoshopによる画像ハイパスフィルター処理(解像感の向上)

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