2015年6月30日火曜日

パソコンソフトスキルの練度向上について

1 パソコンスキル練度向上が課題

パソコンソフトスキルの熟練度向上について意識することが多くなっています。

パソコンソフトスキルの熟練度上下によって、扱う情報量の大小や質の上下に大いに影響することを日々実感します。

最も単純な例を次にあげます。
エクセルで数百のデータを扱う場合、その中の空白行を削除する必要が生じた場合、これまで私は一つ一つ手作業で削除してきていました。少し時間がかかりますが、ノープロブレムでした。

ところが、数千とか数万とか十数万のデータを小字とか墨書土器で扱うようになると、上記のような手作業では到底間に合いません。
より合理的なスキルを探して使います。

その多数空白行一括削除スキルを毎日使うのならば、全く問題はありません。

実際はそのスキルを2週間後とか1ヶ月後に使うことになります。

その時、そのスキルを忘れていて、webやマニュアルを探して、初めからやり直しになってしまうことが多くあります。

とても非効率です。

スキルをすぐに使えれば、数千とか数万とか十数万のデータをスムーズに扱うことができて、検討の質も向上します。

このような単純な例ではなく、もっと複雑な例になると、以前実現したスキルをどうしても復活できないようなこともあります。

そのような場合、自分の心理がぼやぼやしていると、億劫感から以前実現していたスキルを使わない安易な方法で切り抜けようとしてしまう恐れさえあります。扱うデータ量が少なくなり、検討の質が低下してしまいます。

このような体験からパソコンソフトスキルの練度向上が自分の課題となっています。

なお、私の場合、パソコンソフト特定機能実現操作から2週間遠ざかると、その操作をそのまま空で実現することができない場合がほとんどです。忘れてしまうのです。40歳代、50歳代でも同じような状況でしたから、加齢による機能低下というより、私の記憶力の本来性能限界が2週間程度であると考えています。

2 練度向上が必要なソフト
次のようなソフトのスキル練度向上が自分の課題になっています。

WZエディタ
Excel
File Maker
Photoshop
Illustrator
地図太郎PLUS
QGIS

ソフトのアイコン

3 練度向上策
次のような練度向上策を今後執りたいと考えます。

3-1 操作手順情報の蓄積
これまでも、webで見つけた操作手順などは画面をpdf化して、題目をファイル名に書きこんで、ソフト毎に整理して、後からすぐに閲覧できるようにしていますが、これを徹底します。

自家製マクロによる複雑な手順などは、ステップ毎の画面を細かく画像で記録して、後で参照しやすくします。

これまでは、その時はできるのですから、後で記憶が薄れた状態を想起できなくて、詳細な記録を残すことはついついサボってきました。その結果、後で苦労してしまいます。

3-2 練度維持のための記事作成
パソコンスキルの練度を維持するために、そのスキルを使った記事を書くことにします。

いままでは、このように考えることは倒錯していると考えていました。
パソコン技術を楽しむために何かのテーマを借りてブログ記事を書くなどとんでもないということです。

しかし、パソコン技術が高度になれば質の高いブログ記事が書けるに違いないと判ると、趣味活動プロセスの中ではパソコン技術向上のためにその練習を兼ねて(練度を維持するために)記事を書くということは大切であると考えるようになりました。

幸い、このブログ「花見川流域を歩く番外編」という舞台があります。

番外編ですから自由です。

番外編では、パソコン技術向上や練度維持のための記事も書いていくつもりです。
もちろん、そのコンテンツはそれ自体本来の意味(インタレスト)があるのですが、自分の内面では、スキル向上や練度維持を兼ねているということです。

3-3 より高次のスキルの積極的習得
必要に迫られた範囲内のスキル習得だけではなく、もっと積極的にそのソフトの高次スキルを習得するように心がけします。

高次スキルを習得してしまえば、それより低次のスキルはいつの間にか身についてしまいます。

今は2週間後には忘れてしまうようなことも、今より高次のスキルが身に付けば、もう忘れなくなります。

2015年6月28日日曜日

大一(タイイツ)学習のきっかけをゲットする

墨書土器の組文字「大の下に一」が八千代市白幡前遺跡で2Cゾーンを中心に42、八千代市権現後遺跡でも2出土しています。

八千代市白幡前遺跡2Cゾーン出土墨書土器文字「大の下に一」の事例

この組文字を「大一」(タイイツ)と理解し、陰陽師が重要視する太一星(タイイツセイ)[=北極星]と考えました

そして、八千代市白幡前遺跡2Cゾーンは「大一」が集中出土することから、陰陽道を信奉する集団の拠点であると考えました。

すぐ近くの2Aゾーンに寺院施設があるので、2Cゾーンには陰陽寮施設があったのではないだろうかと想像しました。

ブログ本編 2015.05.14記事「八千代市白幡前遺跡 墨書土器の文字検討 その4」参照
ブログ本編 2015.05.15記事「八千代市白幡前遺跡 墨書土器の文字検討 その5」参照

八千代市白幡前遺跡2Cゾーンから墨書土器文字「式」が出土していますから、2Cゾーンが陰陽師活動ゾーンであるとする考えの駄目を押したと考えました。

墨書土器文字「式」
八千代市白幡前遺跡
「千葉県の歴史 資料編 古代 出土文字資料集成」から引用

極めて興味深い新発見です。

しかし、残念ながら自分は陰陽師に関して知識ゼロの状態で、これ以上、このインタレストを発展展開できる情報を全く持っていませんでした。

いつか学習を深めたいと考えていました。

昨日、たまたまぶらりと寄った書店で何気なく次の図書をパラパラめくってみました。

斎藤英喜著「陰陽師たちの日本史」(角川選書)

もしかしたら「大一」がどこかに出ているかもしれないと期待したのですが、関係しない記述ばかりだからと本を棚に戻す最後の瞬間に、「太一」(たいいつ)の文字が目に飛び込んできました。

式盤を使う占いを「式占」(しきせん)という。式盤の特性から太一(たいいつ)、遁甲、六壬(りくじん)という三つの種類がある[小坂眞二・2004]。」という記述です。

自分が探したという感覚ではなく、天から与えられたという感覚で「大一」学習のきっかけを得ることができました。

図書に参考文献リストがあるので、早速図書は購入しました。

善は急げとばかりに、本日図書館にでかけ、次の図書を借りだしました。

小坂眞二著「安倍晴明撰「占事略決」と陰陽道」(汲古書院)

斎藤英喜著「陰陽師たちの日本史」(角川選書)より詳しい説明がありました。陰陽道の中で占める大一のポジションが少しわかってきました。

大一それ自身の詳しい情報は小坂眞二著「安倍晴明撰「占事略決」と陰陽道」(汲古書院)にはありませんが、自分にとっては大一学習の最初のきっかけをえることができました。

太一、遁甲、六壬という3つの式盤名称が判っただけでも、関係webサイトや関係専門図書情報にアクセスできるようになりました。

突破口が開けたので、大一学習を進め、八千代市白幡前遺跡の意義についての検討を深めたいと思います。

2015年6月27日土曜日

歴史文字史料としての小字と墨書土器文字の特性比較

予定調和的にそうなるように意図したのではないのですが、結果的に小字データベースと墨書土器データベースを趣味活動の材料として同時に扱うようになりました。

双方とも歴史に関わる文字史料です。小字は以前から、墨書土器は今年の春から興味を深めています。

そこで、双方とも多数の文字史料を扱うのですから、その特性の違いについて知っておくことが必要だと思い、初歩的な統計的比較をしてみました。

1 小字総数・小字名称総数・出現回数別小字名称数
6市域(千葉市、佐倉市、四街道市、八千代市、習志野市、船橋市)を例にとり、小字総数・小字名称総数・出現回数別小字名称数をグラフにしてみました。

6市域の小字総数・小字名称総数及び出現回数別小字名称数

小字総数・小字名称総数・出現回数別小字名称数の関係は、対象地域を広げてもこのグラフでみるような関係と大幅に異なることはないだろうと想定してます。

小字総数7709に対して、出現する小字名称総数は4892です。その割合は63.5%になります。

さて、ここで、関心分割率という概念を新考案し、使うことにします。
関心分割率とは、人がある母数に固有名称(文字)をつけて認識・利用している場合、次のように定義することにします。

母数が100あって、全部に固有の名称を与えたとすると、母数を100の関心で分割したことになります。この場合を関心分割率100%とします。

母数100に対して、名称の重複があり、固有名称数が50ならば、関心分割率が50%であるとします。その分野で人の関心(興味)が50あり、それに対して母数は100ですから、母数100を50の関心で分割して認識・利用している状態です。

小字の関心分割率は63.5%ということです。

2 墨書土器(釈文有)史料総数・同一釈文総数・出現回数別釈文数
千葉県墨書土器データベース(明治大学日本古代学研究所)のうち、釈文が不明なものを除き、何らかの意味を記載した史料を対象に、史料総数・同一釈文総数・出現回数別釈文数をグラフにしてみました。

千葉県の墨書土器(釈文有)史料総数・同一釈文総数及び出現回数別釈文数

墨書土器(釈文有)史料総数13639に対して、同一釈文総数は3419ですから、関心分割率は25.1%になります。

墨書土器文字の関心分割率は低く、小字と大いに異なります。

3 小字と墨書土器文字の関心分割率の違いの考察
小字と墨書土器文字の関心分割率をグラフで並べてみると次のようになります。

母数に対する関心分割(名称数・釈文数)割合

また、母数に対する1回出現データの割合をグラフにすると次のようになります。こ

母数に対する1回出現データの割合

小字は土地の自然的・歴史的特性の違いや名称を与える側の社会的特性の違いによって視点が細分化され、関心分割率が極めて高い事象であると考えます。1回出現率も約50%です。

人が生活する上で、土地の固有性理解が必須であるという生活原理があるのだと思います。

小字は社会集団の中で生まれたものですから、生れた当初に思いつきのもの、自然的・歴史的・社会的特性を的確に表現していないもの、社会が必要としないものは廃棄されたと考えます。
生まれた当初に社会的淘汰が行われ、合格点に達したものだけが残ったと考えます。一度残るとその後意味が忘れられても土地の固有性理解の必要性からずっと使われたと考えます。

一方、墨書土器文字は関心分割率が低い現象です。1回出現率も16.9%にしかすぎません。

墨書土器は個人が使った道具であると考えます。個人個人の関心(興味)毎は社会生活の中で、お互いに共通する部分が多いことは当然です。

社会にとって土地の固有性理解は必要ですが、個人個人にとって自分の関心(興味)毎の固有性(独自性)はさほど必要としません。いつの時代にも興味の流行があり、同じ関心(興味)が人々を捉えます。

同じ歴史性のある文字史料でも小字と墨書土器文字ではこのような違いがあることを認識しました。

この認識から次のような思考を続けることができます。

小字名称で多出するものは、お互いに影響力の及ばない遠隔地で、たまたま同じような状況下で生まれたと考えます。
逆に考えると、多出小字名称の背後には同じような状況が存在していたと推定できます。

ア地点の小字名称Aの背景が判れば、イ地点、ウ地点…の小字名称Aの背景が芋づる式にわかる可能性があります。
この関係は名称の一部(例○○部、○○屋敷など)についてもいえると考えます。

墨書土器文字は社会的流行に強く影響を受けて書かれたものであると考えられます。

墨書土器の文字共通性に着目すれば、社会流行の範囲を推定することができると考えます。遺跡間交流の実態が判明すると考えます。また文字内容から流行の趣旨(風潮)も推定することができると考えます。

2015年6月25日木曜日

出現数上位の小字名称を知る

花見川流域に係る6市(千葉市、佐倉市、四街道市、八千代市、習志野市、船橋市)の小字地名データベースが既に完成していますので、小字名称の出現数をカウントして、出現数上位の小字名称を調べてみました。

6市の小字数は7709件あります。
この中から同じ名称を名寄せしてカウントする技術は以前は持っていなかったのですが、墨書土器データベース約12万件を扱う中で、エクセルの関数を利用して出現数をカウントする技術を身に付けました。
早速その技術を小字地名データベースにも応用してみました。

小字としてどのような名称が多いか、データベースがないのですから、統計的な検討はこれまで、社会的にほとんどないと思います。

従って、この記事で紹介するような情報は社会初出だと思います。

6市小字7709件のうち、出現数の多い小字をグラフで示します。

6市域の出現数上位20位までの小字名称

1位から10位は次の通りです。
前田、新山、堀込、町田、大作、大山、上谷津、一丁目、台畑、長作

11位から20位は次の通りです。
本郷、新田、宮田、花輪、出戸、向原、内野、二丁目、宮ノ下、前畑

同じ地名は同じような状況下で生まれたと考えることができますから、多出する小字名称は多数地点の比較検討が出来るということから、その地名の意味や背景を深めることができる可能性をはらんでいると考えます。

上位20位までの小字のうち、このブログでこれまで検討したことのある地名として花輪をあげることができます。花輪は縄文語起源と想定している重要な検討対象です。その花輪が17件出現したのですから、将来の花輪検討が楽しみです。

上位20位の地名に「前」「内」「大」「新」の文字が含まれていることに注目できると考えます。

前田、前畑、内野はその田、畑、野の所有関係を地名に投影した言葉であると考えます。「前から自分のもの」「手前(自分)のもの」「集落の領域の内側にあるもの」など。そうした所有関係を強調する必要性や背景が、多数地点の比較から判れば面白いと考えます。

大作、大山、台畑(=大畑)などは収穫物の多い耕作地やそれから連想される富裕さを表現していると考えます。実際にそうなのか、多数地点の比較からなにか言えれば面白いと考えます。

新山、新田は新たな開発地を表現していると考えます。

堀込、町田、長作、本郷、宮田、出戸、向原、宮ノ下などの名称もそれぞれその意味を絞り込むことができると考えます。

2015年6月24日水曜日

2015.06.24 花見川風景

昨日の日の出時刻が4:24、今日の日の出時刻は4:25で、日の出時刻が1分遅くなりました。

散歩出発時間が日の出30分前くらいと決めていますから、これから徐々に睡眠時間が増えることになります。

昨夜は強烈な降雨と雷がありましたが、早朝は快晴でした。

日の出前

霧が出ていて、風景に水墨画のような遠近感が生れています。

花見川

花見川

花見川

花見川

体長60-70㎝のオオミスジコウガイビルを見つけました。頭部がプラナリアそっくりで、プラナリアと同じく切断された体部が個体として復活してしまう能力を有しているとのことです。ミミズなどを餌として吸血する帰化生物です。

オオミスジコウガイビル

弁天橋から下流

弁天橋から上流

快晴の空
快晴ですが、よく見ると南南東の空の遠方にエッジがはっきりした雲塊が見えます。
2015.06.22記事「2015.06.22 花見川風景」で観察したフロントが光っていた雲塊と同じような雲塊だと気が付きました。

この雲塊がどこにあるのか検討をつけるために気象庁の気象衛星写真を見てみました。

気象衛星写真による雲塊の想定

はるか遠方に見えた雲塊は伊豆半島から房総南端付近まで東西の延びるエッジの明瞭な梅雨前線縁の雲塊であると想定しました。

この付近から見える富士山の高度・距離と仰角の関係を思い浮かべると、はるか遠方に見えた雲塊の高度が5000m程であるとすると、その見え方に不都合はありません。

2015年6月22日月曜日

2015.06.22 花見川風景

出かけるときは雲はあまりありませんでした。

日の出前

花見川の堀割には川霧が出ていました。

川霧の出ている花見川
鉄塔の手前に花見川堀割があります。
高空遠方からうろこ状の雲塊が押し寄せてきていますが、この時は普通の雲でした。

花見川
高空のうろこ状雲塊のフロントが急に朝日に当り赤く染まりました。
その光で花見川の堀割がいつもより明るくなっています。

花見川

花見川
高空のうろこ状雲塊フロントがゆっくりと花見川を横断して行きます。

花見川

弁天橋から下流
うろこ状雲塊が空一面に広がっています。

弁天橋から下流
うろこ状雲塊のフロントがさらに北東に向かって進んで行きます。

コナラの樹液を吸うカブトムシ
子どもが少ないのでカブトムシを採る人はいません。

2015年6月21日日曜日

墨書土器の記号について考える

墨書土器の文字について自分なりに思考を積み重ねていますが、どう考えても記号のように感じてしまい、対応する漢字が無いものがあります。

発掘調査報告書の釈文でも「記号ヵ」などと記載しています。その記号の見かけを印刷物では外字作成で表現しているものがあり、データベースではその外字を表現できないので〓になっているもの多くあります。

外字をわざわざ作っているのは、同じものが沢山出土するためだと思います。萱田地区の別の遺跡から同じ記号が出ることも珍しくありません。

「千葉県の歴史 資料編 古代 別冊出土文字資料集成」で外字をつくっている記号につぎのようなものがあります。

萱田地区遺跡の墨書土器に現れる記号

こうした記号について思考してみましたので、メモしておいきます。

1 記号は複数出土し、なおかつ離れた場所からも出土するので、人々の活動の中で流行ったことは確実だと考えます。
個人が思いつきで書いたという1回性の作品ではなく、その記号に意味があり、名称があり、社会集団の中で使われたと考えます。

2 記号が単なる無機質な記号ではなく、意味や名称があって使われていたということは、執拗にかつ長期間にわたってその意味を考えていれば、いつかそのヒントを得ることができると考えます。

3 一般人を社会活動に動員するための手段として、教養のある官人が一般人に対して漢字(文字)を使ったという社会状況の中で、墨書土器というものが発生したと考えます。
つまり、官人が一般人に漢字(文字)を教えるという大局的社会プロセスの中で、墨書土器が生まれたと考えます。
ですから、文盲の人が文字をよく理解するまでの中間段階として、漢字を充分に理解しないで、漢字もどきの文字を使うという段階があったものと考えます。記号のほとんどは漢字もどきの文字であると考えます。記号と正式漢字は同じ次元で使われていたと考えます。

(記号を使った人・グループはその記号が正式漢字ではないと理解していたと考えますが、その記号を身内だけで通じる漢字として使い、文字を全く知らない完全文盲の人…例えば近くにいる奴婢や俘囚…と比べて心理的優位性を得ていたと考えます。)

4 遺跡内のあるゾーンにおいて、現代において記号としてしか認識できない漢字もどき文字の量が多ければ、そのゾーンには文盲段階と漢字理解段階の中間に位置する人が多かったと考えられます。

5 「記号(漢字もどき)史料数/全出土文字史料数」という指標をつくりゾーン比較をすれば、その指標の値が大きいゾーンは文字に関する教養の程度が低く、反対に指標の値が小さいゾーンは文字に関する教養の程度が高いということになります。
この指標が実現できれば、ゾーンの特性の一端を浮き彫りにすることができます。

予察的に検討してみたところ、白幡前遺跡の2Aゾーン(寺院と接待施設があり、人面墨書土器が出土し、ハマグリが多出するたゾーン)は「記号(漢字もどき)史料数/全出土文字史料数」の値が他のゾーンと比べて小さく、ゾーンの教養程度が高かったことが証明できそうだという感触を持つことができました。

「記号(漢字もどき)史料数/全出土文字史料数」という指標で遺跡間比較もできると考えます。

2015年6月19日金曜日

小字データベースのGIS地図構築までのイメージ

現在小字データベースの作成に取り組んでいます。

具体的には角川千葉県地名大辞典の付録小字一覧を電子化して、ExcelやFile Makerで使えるデータベースを作成しています。

分布図の電子化を一緒にしようとするととんでもない作業になりますので、それはとりあえず望まず、とにかく紙の小字リストを電子化して、パソコンで自由に検索できるようにしようとしています。

現在の進捗状況は次の通りです。

千葉県小字地名データベース作成作業の進捗状況
作業の効率化が加速していますので、1年位先には完成させるつもりです。

この情報を使って検討した結果は、アドレスマッチングの技術を使えば、小字を大字の位置にプロットできますから、おおよその位置をGISで知ることはできます。

また大判地図や冊子形式での小字分布図はこれまで作業した市では概ねの地域で存在しています。

これまでに作業した市の小字分布地図情報

ですから、当面は小字データベースで検討した結果(何らかの小字リスト)の地図表現はアドレスマッチングや紙の情報を見て手作業で原始的に行うことになります。

さて、この原始的手作業を少しでも効率化するための工夫を考えておきたいと思います。

現在、データベース作成作業(電子化作業)で手一杯ですから、小字リストの地図表現技術開発作業を行うことはできませんが、技術開発のイメージを考えておくことは大いに意義があると思います。

考えているうちに、超効率的な地図表現技術に気が付かないとも限りません。

夢のような超効率的な地図表現技術が生れないにしても、日常的に地図表現技術の開発について思考していれば、良いアイディアは必ず生まれると思います。

この記事では、現在考えている小字リストの地図表現に関する小技をメモしておきます。

1 小字分布図(大判地図・冊子)の収集と電子化(スキャン)
小字データベース化(電子化)が終了した市の範囲の小字分布図を収集し、電子化するつもりです。

下総国の範囲については、この作業を完結したいと希望しています。

2 スキャンした小字分布地図をGISに貼り付け、小字位置を点情報として得ることができる基盤をつくる
スキャンした小字分布図をGIS上で「画像位置合わせ」をしてGISに貼り付けると、小字リストの電子的地図表現の基盤ができます。

「画像位置合わせ」をした画像を下敷きにして、GIS上で小字位置を「点情報」でプロットできます。この作業は容易です。

小字位置の点は目検討で小字の中心にプロットすることになります。飛び地情報は捨象します。

点情報でプロットすることを前提とするならば、「画像合わせ」の精度はほどほどでよいことになり、作業がはかどります。

この作業は自分に必要が生じた領域について、随時行うことになります。

スキャンした小字分布図をGISで画像位置合わせした例(最も難易度の高い例)
小字分布図は「絵にみる図でよむ千葉市図誌 下巻」からスキャンしたもの
画像位置合わせに際しては、旧版地形図など各種地図を総動員して行います。

小字リストを点情報としてGIS上にプロットした例
GISにプロットした点情報は緯度・経度情報を持っていますから、その情報を他のGISやGoogle earthなどに使い廻しすることができます。

3 全ての小字位置を点情報として得る
これができれば事実上千葉県小字電子地図が完成したことになります。
将来の夢です。

4 スキャンした小字分布地図から小字位置を面情報として得る
スキャンした小字分布地図の小字界線をなぞって、GIS上で小字分布図(面情報)をつくることができます。

しかし、この場合スキャンした小字分布図を精確に「画像位置合わせ」するために、時間がかかります。また完全に一致することはないので、機械的に小字界線をトレースするということにはならず、相当レベルの高い職人技が必要になると思います。
複雑な飛び地処理をどうするかという問題もあります。

面情報としての千葉県小字電子地図は今のところ、夢のまた夢です。

2015年6月17日水曜日

千葉県遺跡を正確にGISプロットする方法の発見

偶然のことですが、千葉県遺跡を正確にGISプロットする方法を発見しましたので、記録しておきます。

webサイト「ふさの国文化財ナビゲーション」(千葉県教育委員会)では文化財のマップ窓を開くことができます。

この文化財マップでは遺跡をクリックすると、その遺跡が画面中央に来て、その座標がマップの下に文字で表示されます。

この座標表示をカーソルでなぞって、エクセルに貼り付けると、緯度と経度が別々のセルに貼りつきます。

ふさの国文化財ナビゲーションのマップ窓

Excelの関数を工夫して日本語混りの60進数表示を10進数に変換することは比較的容易です。

Excelの関数利用による60進数表示の10進数変換

参考 Excelの関数

=MID(C2,4,FIND("度",C2)-FIND(" ",C2)-1)+MID(C2,FIND("度",C2)+1,FIND("分",C2)-FIND("度",C2)-1)/60+MID(C2,FIND("分",C2)+1,LEN(C2)-FIND("分",C2)-1)/3600

C2セルに北緯35度42分41.0秒を置いた時、上記関数を貼り付けたセルに値35.71138889が表示されます。(※この関数の利用上の注意参照)

この10進数を使って試してみたところ、遺跡位置を正確にGIS上にプロットすることができました。

10進数変換データによる遺跡のGISプロット

これまで、私が行う遺跡位置プロットは、ふさの国文化財ナビゲーションの地図とGISの地図の両方を開いて、目で両方を見ながら手でプロットするという原始的方法でした。

偶然この方法を発見したことにより、今後の遺跡プロットは効率化し、正確なものになると思います。

……………………………………………………………………
※ 紹介した関数の利用上の注意
関数の中の" "の空白はふさの国文化財ナビゲーションから取得した例「北緯 35度42分41.0秒」の「緯 3」の間の空白をコピーして置き換え利用してください。


2015年6月16日火曜日

参考 千葉県の墨書土器出土数上位遺跡の確認

千葉県の墨書土器出土数上位遺跡を確認して、そのデータを使って今後のブログ(「花見川流域を歩く」本編)活動の方向を修正・調整するつもりです。

その確認作業で、新旧の墨書土器出土数上位遺跡リストを比較してみましたので、参考までに紹介します。

ブログ本編2015.05.03記事「千葉県における墨書土器出土件数上位25遺跡の把握」では1996年発行の図書「千葉県の歴史 資料編 古代 別冊 出土文字資料集成」(千葉県発行)に基づいて墨書土器出土数上位遺跡を抽出してリスト化しました。

その後メイン利用情報源を公開されている墨書土器データベースに切り替え、データベース情報に基づいて、墨書土器出土数上位遺跡をもとめてみました。

その双方のリストを対照し、その対応関係を図にしてみました。

墨書土器出土数上位遺跡リスト 1996年リスト及び2015年リスト
2015年リストには6月になってアップされた補遺1というデータベースも含めています。

1996年リストでは上位25遺跡を求めたのですが、偶然ですが、25位がちょうど100件出土でした。

2015年リストでは100件以上出土遺跡を求めてみました。
53遺跡が墨書土器出土数100件以上としてリストアップできました。
このうち、29遺跡が1996年リストには含まれていない、新たに登場した遺跡です。

この20年間における墨書土器出土量の急増に驚くばかりです。

以前書いた記事(ブログ本編2015.05.03記事「千葉県における墨書土器出土件数上位25遺跡の把握」)の内容は丸ごと改訂することが必要です。

2015年6月14日日曜日

墨書土器文字「生」の出土状況

萱田地区4遺跡の墨書土器文字の出現率のもっとも高い文字は「生」となっていますので、「生」の出土状況を確認しておきました。

墨書土器文字「生」は次のように出土しています。

墨書土器文字「生」の出土状況(一覧表)

墨書土器文字「生」の出土状況(グラフ)

萱田遺跡では白幡前遺跡と権現後遺跡の出土数が多く、権現後遺跡では全データの23.1%に達します。

今後の検討で、白幡前遺跡と権現後遺跡の交流・結びつき等について検討して行きたいと考えます。

「生」は萱田地区の墨書土器文字の意味を考える際には最大の思考エネルギーを投入すべき対象です。

これまで、次のような検討をしてきています。

……………………………………………………………………
●生の意味
生の字の意味は多岐にわたり、国語大辞典(小学館)では「生」1文字の見出しが46に及び、それぞれの見出し毎に数項目の意味を説明しています。

この資料を参考にして、私は白幡前遺跡出土「生」の辞書的な言葉意味は次のようであると思いました。

いき…生きること。
いきる…命を保つ。生存する。死にそうな状態からのがれて助かる。
いく…命を保つ。生存する。死にそうな状態からのがれて助かる。

白幡前遺跡とそれを含む萱田地区は蝦夷戦争の軍事兵站・輸送基地であることから、多くの将兵がここを経由して戦地である陸奥国に向かった場所です。

その将兵の最大の本能的関心事は、蝦夷戦闘員との戦いで生きるか、死ぬかということで間違いないと思います。

飛んでくる矢に射ち抜かれたり、白兵戦で刃に倒れたりする状況をイメージして、そうならないで、生き残りたいという願望が最大のものであったことは確実です。

そうした将兵が、一時逗留した場所の日常生活における祈願で、自分の器を作る時(墨書する時)「生きたい」「生き残りたい」というような心情のもとに「生」(イク)の字を書くことは極自然なことであると思います。

「生」の字は、戦地に向かう将兵一般が使うポピュラーな祈願文字であったと考えます。

「生」の字は、この墨書土器に盛ったお供え物と引き替えに、私の生(生きること)を下さいということを意味します。

「生」の字は、特定の親族集団とか特定のプロジェクトグループに関わる文字ではなく、白幡前遺跡に一時逗留して戦地に向かう将兵がだれでも使ったものと考えます。

墨書行為は一人一人の将兵が実行したというよりも、上官が、あるいは基地専属の世話要員が行ったということも考えてよいと思います。

なお、作った自分の墨書土器を使って、日々祈願する内容は、当然のことながら生活のあらゆる事柄に及んだと思います。まだ戦地に行ってないのですから、「生き残りたい」だけではなかったと思います。

祈願の道具である墨書土器に書かれた「生」の字は、それを持つ人がこれから戦地に向かう将兵であることを自覚するための重要な記号であったとも考えます。

生を意識することで戦死の覚悟が無意識の内に形成され、より充実した戦闘員になれたのだと思います。

1Aゾーン、1Bゾーンは基地で働く人ではなく、移動将兵の逗留場所であると考えられますから、その場所から「生」の字が沢山出土することは、ゾーン機能の見立てと「生」字意味の見立ての双方がお互いにその確からしさを補強しあいます。
ブログ花見川流域を歩く 本編 2015.05.11記事「八千代市白幡前遺跡 墨書土器の文字検討 その1」より
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平和で長寿社会となった現代の「生」のイメージは「いつまでも死なないで生き延びる」というような消極的ニュアンスが濃くこびりついていますが、古代では「生」のイメージは現実に訪れる生死の境で、相手を殺すことによって自分は生き残り、それが社会貢献であり、人生の全うであるという積極的ニュアンス、能動的ニュアンスがメインであったと考えます。

長寿社会で人口爆発時代の現代と短命社会で人口がきわめて少なかった古代とでは「生」の価値が全く異なっていたと考えます。

このような古代蝦夷戦争時代の「生」に関する検討が的確なものであるのか、それともトンチンカンな思考であるのか、今後の検討で検証していきたいと考えています。

2015年6月13日土曜日

出現数上位50位までの墨書土器文字の割合

出現数上位50位までの墨書土器文字の全史料に対する割合が知りたくて、集計してみました。

出現数上位50位までの墨書土器文字の割合
全国墨書土器・刻書土器データベース(csvファイル) 明治大学日本古代学研究所 より集計

参考 墨書土器出土数
全国墨書土器・刻書土器データベース(csvファイル) 明治大学日本古代学研究所 より集計

出現数上位50位までの墨書土器文字の割合は全国20.7%、千葉県23.9%ではあまり変化がありません。

しかし、萱田地区4遺跡は53.0%で急上昇します。

これは遺跡単位、あるいは交流が密な遺跡群単位で、ある特定の文字群が好んで使われていることを示していると考えます。

交流が密とは言えなくなる県単位とか全国単位になると、遺跡(群)単位の選好的言葉が統計的に平均化されてしまい、上位50位の文字の割合は、同じような20%台前半になるということだと思います。

このグラフから、墨書土器の文字(群)は遺跡や遺跡群など明瞭な交流が確認できる領域単位で、その好みがあることがより明白になりました。

逆に考えると、類似文字が多出する遺跡(群)の間には交流の存在が推定できるということです。

墨書文字統計から、近隣の遺跡(群)間交流だけでなく、遠隔の遺跡(群)間の交流存在が推定できれば、おもしろことです。

別の興味ですが、遺跡(群)毎に異なった好みの墨書文字(群)が存在するのですから、それを遺跡(群)の固有情報とすることができます。

遺跡(群)を特定文字(群)で表象することができます。

県の花、県の木、県の鳥、県の旗、県の…と同じように遺跡(群)を特定文字(群)でイメージすることができるようになります。

遺跡(群)の名称以外に墨書土器文字(群)を遺跡に与えると、遺跡(群)理解が促進されると考えます。


2015年6月12日金曜日

萱田地区4遺跡墨書土器 出土文字出現ベスト50

全国及び千葉県の墨書土器出土文字出現ベスト50と同じ方法で萱田地区4遺跡(白幡前遺跡、井戸向遺跡、北海道遺跡、権現後遺跡)から出土した1470史料の出土文字出現ベスト50を求めてみました。

萱田地区4遺跡墨書土器 出土文字出現ベスト50

全国及び千葉県のベスト50とどのように重複するか調べてみました。


萱田地区4遺跡墨書土器 出土文字出現ベスト50で全国及び千葉県ベスト50にはいるもの

萱田地区4遺跡墨書土器 出土文字出現ベスト50で全国ベスト50にはいる文字は次の10つです。



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全国のベスト50位の文字が千葉県-萱田地区4遺跡と地域を具体化するに従って逓減する様子をグラフにすると次のようになります。

墨書土器文字 全国上位50語と千葉県、萱田地区4遺跡上位50語との関係

墨書土器の文字は恐らく全国的に見ても、このような関係で分布しているものと想定します。

現代と異なりマスコミはありませんから、遺跡内部のマンツーマンのミニコミ(交流)が基本となって墨書文字の言葉(祈願語)が流行したのだと思います。

現代のようなマスコミが無いので、遺跡間における言葉の偏在性はきわめて大きなものがあるのですが、一方全国の祈願語と萱田地区4遺跡の祈願語が20%も重なっているということに注目する検討視点も有り得ると思います。

蝦夷戦争を戦う中での東国における官人の活動が旺盛であったので、祈願語の20%は全国と同じにそろえられていたという見方もできると思います。

参考
2015.06.09記事「千葉県墨書土器 出土文字出現数ベスト50
2015.06.07記事「全国墨書土器 出土文字出現数ベスト50

2015年6月11日木曜日

花見川風景と道

毎朝花見川風景写真をいろいろな地点でいろいろなアングルで撮って楽しんでいます。

毎日何年も同じことをして飽きないのが我ながら不思議です。

花見川でも好きな場所の写真を撮っていて、斜面の樹の樹勢が激しくなり、なんだか避けたくなりました。

花見川の風景 樹勢が激しい A

以前の風景は次のようでした。

3月22日撮影 花見川の風景 B

激しい樹勢の姿を避けるとどんな写真になるか試してみました。

花見川の風景 C (A撮影点から2m離れた場所)

Cは間の抜けた風景のように感じます。

Aは樹勢が激しく、画像における空の面積は減少しますが、Bと同じように花見川の風景の特徴を表現する写真であることを自分内部で確認しました。

樹木にばかり気をとられていたのですが、道のカーブが風景をつくる大きな要因になっていることを改めて感じました。

道のカーブが画像に遠近感を与え、また道という人(自分)が利用できるものが存在することで深層心理的な安心感を得ることができるのだと思います。

縦長写真でも同じことが言えると思います。

花見川の風景 A

3月22日撮影 花見川の風景 B

花見川の風景 C (A撮影点から2m離れた場所)