2021年8月30日月曜日

深度合成の効果

 小さな対象物の3Dモデル作成技術習得を見よう見まねで進めています。その中で、対象物全部にピントが合う写真撮影が困難です。困難というより原理的に不可能です。結局一部しかピントの合っていない写真を使って3Dモデルを作成することになります。3Dモデルはなんとかかんとか、ごまかしごまかしつくれるのですが満足できるものではありません。

そこで対象物全部にピントが合う深度合成という機能をもったカメラを入手し、ちいさな対象物の3Dモデル作成にチャレンジすることにします。

この記事では深度合成がどの程度効果的なものであるか、テストしました。

1 使用カメラと機能

使用カメラ:コンパクトデジタルカメラTG-6(OLYMPUS)

利用機能:顕微鏡モード、サブモード深度合成(ピント位置の異なる8枚による合成)

比較対照カメラ:ミラーレス一眼カメラOM-D E-M5 MarkⅡ(30㎜マクロレンズ)(OLYMPUS)

2 深度合成の結果


接写における深度合成の効果


深度合成の効果

深度合成の効果は想定していた通りのものがあります。これまで不可能だった、奥行きのある対象物の全てにピントのあった画像が得られました。

撮影ではカメラが通常撮影用シャッターを1回と深度合成用シャッターを8回(増減可能)切ります。シャッター回数が多いのでカメラ固定装置が必要になります。


参考 テスト撮影イボキサゴの大きさ(長径17.2㎜)

3 感想

TG-6の深度合成機能が満足のいくものであることが判りました。対象物まで1㎝まで近寄り深度合成写真が撮れるので小さいモノの撮影には重宝するカメラになりそうです。

カメラ固定装置が必要であるので、カメラ固定アームを用意して回転台に乗せたイボキサゴの撮影を行うことにします。

深度合成写真により作成した3Dモデルが旧来カメラ撮影写真による3Dモデルとどのように違うか追って比較検討することにします。

2021年8月25日水曜日

Photoshop HDRトーン写真

 PhotoshopにHDRトーンという機能があることを遅ればせながら気が付きました。早速試してみました。以前Google Nik Collectionという無料化されたHDR化ソフトをPhotoshopに取り込んだことがありますが、それが製品化されてPhotoshopに加えられたような印象をもちました。

2018.05.20記事「再びGoogle Nik Collectionをインストール

次に、日常的にブラケット撮影しているアートフィルター5種についてPhotoshopHDRトーン機能を試します。

1 ナチュラル


ナチュラル写真のHDRトーン適用

2 ポップス


ポップス写真のHDRトーン適用

3 ポップス+ドラマチック合成


ポップス+ドラマチック合成写真のHDRトーン適用

4 参考 ドラマチック


ドラマチック写真のHDRトーン適用

5 参考 リーニュクレール


リーニュクレール写真のHDRトーン適用

6 参考 モノクロ


モノクロ写真のHDRトーン適用

7 感想

3のように、ポップス写真とドラマチック写真を「比較(明)」などの描画モードで重ねると明るい空と明るい前景だけを選んだ写真にできます。このような写真にHDRトーンを適用するとある程度もっともらしいHDR風写真になることが確認できます。このHDR風写真は単純な写真「ナチュラル」と較べると、自分はHDR写真が好きなので、価値の大きなものであると感じます。

しかし、HDRトーン機能では早朝日の出の明るさの強調が単純なものでなくなる(オブラートに包んだような印象のものになる)という特性(欠点?)も見つかります。

前景が黒くなってしまい、使えそうにないという印象を持った写真でもHDRトーンを適用することによってなんとかその場を取り繕うというような使い方も出来そうです。

モノクロ写真もHDRトーン適用によって写真の訴求力を高める効果を持たせることができます。


2021年8月11日水曜日

文鎮 香取神宮宝物国宝海獣葡萄鏡レプリカ 3Dモデル

 3Dモデル技術習得の一環として、完全体3Dモデル(360度どこからでも見れる3Dモデル)作成を目指していましたが、遅まきながら出来ましたのでメモします。

1 文鎮 香取神宮宝物国宝海獣葡萄鏡レプリカ 3Dモデル

文鎮 香取神宮宝物国宝海獣葡萄鏡レプリカ 3Dモデル

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.006 processing 92 images


撮影写真例


カメラ配置の様子


3Dモデルの動画

2 技術的工夫

ア 撮影ボックスの利用

撮影は撮影ボックスを利用して対象物を回転させて撮影しました。回転軸を複数設定することにより写真が一つに結像しました。


撮影ボックスの様子

イ マスカレード機能の利用

3DF Zephyr Liteのマスカレード機能を利用して写真に残る若干の影等を除去しました。

ウ パンフォーカスを目指した撮影

視線入射角が小さい撮影では、一眼レフカメラ接写撮影ではピントの合った部分とボケた部分が生まれます。そこで、コンパクトデジカメに機種変更してボケの少ない写真を撮影しました。


一眼レフカメラの写真

画面上でピントが合っているが、画面下ではボケている。


コンパクトデジカメの写真

画面上下ともにピントが合っている。

3 感想

イボキサゴ標本(径1.7㎝)の完全体3Dモデル作成を目指していますが、まず大きなモノで扱いやすものとしてこの文鎮(径7㎝、厚さ1㎝)の3Dモデルを作成しました。

完全体3Dモデル作成のイメージはつかめましたので、早速イボキサゴ3Dモデルに取り組みたいと思います。

小さなモノの撮影ではボケのない撮影が必須であり、ボケをなくす機能を備えたカメラ(深度合成できるカメラ)の必要性も検討してみることにします。

この文鎮は30年以上前から私の机の上で職責を果たしています。

2021年8月7日土曜日

ミロのビーナス像3Dモデル動画にYouTubeから年齢制限がかかる

 花見川流域を歩くブログで2021.08.06記事「ヴィレンドルフのヴィーナス切手と石偶」を書きました。この記事を書く中でwebで次の報道に接しました。


Facebookでヴィレンドルフのヴィーナスが削除されたことの顛末記事

AFPwebサイトから画面引用

この記事ではFacebookがヴィレンドルフのヴィーナス画像を有害なものとして削除し、それに対してウィーン自然史博物館などが反論して削除が取り消された顛末が書かれています。

この記事を読んで、つい2日程前に自分にも同じようなミニ災厄が訪れていることに気が付きました。8月4日にYouTubeから次のメールが届いています。


YouTubeからのメール

YouTubeに今年3月に投稿したミロのビーナス3Dモデル動画に年齢制限がかかったという趣旨のメールです。


私のYouTube画面の「 Scan The World提供によるミロのビーナス像(色彩貼付テスト) 」

確かに年齢制限がかかっています。

この動画は題材にミロのビーナスを使っていますが、3Dモデルにおける色彩貼付テスト動画です。年齢制限がかかる筋合いのものではないと考えます。

ブログ花見川流域を歩く2021.03.03記事「文化的3Dモデル無償公開サイトScan The Worldの存在を知る」ではこの動画をYouTubeからリンクして表示していますが、現在この記事では動画は次のように表示されています。


ブログ記事で年齢制限のかかったYouTube動画画面

クリックすれば、Googleにログインしている人や18歳以上であることをチェックした人は動画を閲覧できます。

ミロのビーナスという自分の趣味本題(原始遺物)と離れた対象とはいえ、また人がかかわっていないで機械が調べて私にメールをよこしたとはいえ、さらにこの動画の閲覧数がたったの19(その後何故か少し増えましたが)とはいえ、年齢制限のある動画をYouTubeに所持しているというのはあまり気持ちの良いものではありません。YouTubeの年齢制限通知にかかわらないで時間をもっと有益なものに使うということも考えました。しかし、再審査請求が簡単なのでそれをしておきました。


年齢制限措置に対する再審査請求画面

文章で再審査請求できるようになっています。

再審査請求の結果が判ったら、この記事にそれを追記します。

なお、Twitter及びFacebookではこの動画をYouTubeからのリンクではなくパソコンから直接ファイルをアップしていますから、影響は受けません。

……………………………………………………………………

追記 2021.08.09

YouTubeから次のメールがあり、再審査請求により年齢制限が解除されました。


YouTubeからのメール

汚名(?)は晴れました。


年齢制限が解除されているYouTube画面


2021年8月2日月曜日

ポリデント消臭洗浄効果抜群

 ポリデントの消臭洗浄効果が抜群でしたのでメモします。

消臭洗浄効果といっても入れ歯ではなく、イボキサゴ標本の消臭洗浄です。

多数のイボキサゴ標本を作ったのですが、鼻を近づけるとかすかに臭いがするものがあります。海の臭いであり悪臭とまではいえないのですが、家の中に置いて置くものとしては消臭したくなります。Twitterでビーチコーミング専門家の安房坊 弁慶さんにおうかがいしたところ、ポリデントによる消臭洗浄を教えていただきました。そこで早速、ポリデントと注射器状スポイト(100円ショップ化粧品売り場)を購入してイボキサゴを洗浄してみました。


ポリデント洗浄の様子


ポリデント洗浄の様子

ポリデント液を注射器状スポイトでイボキサゴの中に何回も注入し、2時間ほど浸けておきました。その後水で洗浄し乾燥させました。

結果は良好です。


臭いの消えたイボキサゴ(写真では表現出来ませんが)

3Dモデルを作成した標本は臭いはしないのですが、作業途中に汚れ付着に気が付いていました。この汚れはポリデント洗浄できれいになりました。微細な凹みにも顕微鏡的な汚れがあり、手でとることは到底無理と考えていた汚れもとれました。


ポリデント洗浄で汚れが落ちたイボキサゴ

判らないことは専門家に聞いてみるものです。Twitter安房坊 弁慶さんありがとうございました。感謝します

2021年8月1日日曜日

2021年7月ブログ活動のふりかえり

 ブログ「花見川流域を歩く」とそのファミリーブログの2021年7月活動をふりかえります。

1 ブログ「花見川流域を歩く」

・7月の記事数は19です。月間記事数ではこの10年間で最も少ない新記録かもしれません。一方、活動の質という側面からみるととても充実した月となりました。

ア 有吉北貝塚北斜面貝層の貝層断面図分析

貝層断面図を着色して様々な分析思考を行いました。また層相について詳細注記のある4断面図についてその注記を統計的に分析しました。作業としては地味で根気のいるもので、何日もつづきました。楽しみの活動というより苦行にちかい作業でした。しかし、これから得られた情報により、貝層がどのように堆積したのかということを知る上での重要なヒントを得ることができました。貝が含まれていない砂層が水成層として堆積したことが判りました(発掘調査報告書では崩落土として認識しています)。その砂層の上に混貝土層が堆積しているという順番から、縄文人の混貝土層形成活動(広義の貝投棄活動)が地形侵食作用を抑制した方向で機能したことを実証的に論じることができそうです。混貝土層、混土貝層は縄文人が意図して形成した可能性が濃厚となりました。

イ イボキサゴ採取会参加

イボキサゴ採取会に参加しイボキサゴを採取観察し、その3Dモデル作成にチャレンジしました。有吉北貝塚の主要貝種の1つがイボキサゴであり、その詳しい観察は有吉北貝塚学習にとって重要な体験となります。

また、小さいモノの3Dモデル作成という特殊技術習得のとっかかりを得ることができ、実践がはじまりました。

ウ 「土偶を読む」を読む

竹倉史人著「土偶を読む」を怖いモノ見たさ的な興味から読みました。事前に予想していたような拒絶感はなく、面白い仮説(あるかもしれない仮説)として好感できました。説明コンテンツそのものの多くは「それは違う」という印象でした。しかし、自分自身が土偶を考える上で、参考となる思考パターンも含まれているという意味で大切な図書でもあると感じました。土偶に関して一般人が知りたいことについて考古学者はあまりしゃべりたがらないという不満が世の中にあり、その不満を逆手に取った図書です。

エ 「切手de考古学」展の観覧

切手の博物館企画展「切手de考古学」を観覧しました。世界の考古遺跡興味と自分の海外旅行趣味・海外地形興味を切手という媒体で結合することを思いつきました。世界の考古学切手収集と海外旅行を一緒に楽しむ趣味活動が自分の中に生まれました。(コロナ禍で丸2年近くも海外に出られない不満に対する代償行為としての切手収集かもしれません。)

2 ブログ「花見川流域を歩く番外編」

・モノクロ画像のカラー化技術など4記事を書きました。

3 ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」

・早朝散歩記事を7編書きました。

4 ブログ「世界の風景を楽しむ」

・切手によるチチェン・イツァ遺跡思い出記事1偏を書きました。

5 ブログ「芋づる式読書のメモ」

・設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」の学習記事1編を書きました。

6 7月学習の特徴

7月は、ブログ記事を書くために諸活動を行うという悪弊を排して、諸活動の結果をブログ記事に表現するという正常なスタイルに近づくことができました。

有吉北貝塚北斜面貝層の貝層断面図分析作業に必要な時間は節約することはしませんでした。その結果分析は手ごたえのあるものになりましたが、当初目指した3Dモデル作成技術向上は中途半端なものになりました。ある程度のトレードオフは我慢しなければなりません。

●7月中には作りたい・到達したいと予定した3Dモデル・技術

・小形対象の3Dモデル作成(初歩的試作は実施)

・完全体3Dモデル(未)

・土偶集成3Dモデルの修正行為アニメ3Dモデル(未)

・複数平面モデルで構成される訴求力ある3Dモデル(未)

3Dモデル技術向上に時間を割けなかったことは、6月のSketchfab投稿数が18に対して7月の投稿数が2という数値に如実に表れています。

7 2021年8月学習のイメージ

ア 有吉北貝塚北斜面貝層学習

・純貝層・混土貝層&混貝土層の分析学習を深めます。断面図を面積測定して貝層分類別の体積を求めたり、貝殻と土の体積とその割合算出などにチャレンジします。

・土器片、石器、アリソガイ製ヘラ状貝製品等遺物別の分布検討に入ります。

・有吉北貝塚学習記事の集成サイトを立ち上げ、有吉北貝塚における学習の軌跡を効率的に確認できるようにします。

イ 3Dモデル作成技術の習得

・イボキサゴ(小形対象物)を例に懸案となっている3Dモデル技術習得に努めます。

ウ 「気になる情報・図書」記事の作成

・webで得た「気になる情報」とか、「気になる」ので入手した図書でパラパラ読みしたもの(読後感などを書くほどの深い読書をしていないもの)などについて「気になる情報・図書」としてブログ「芋づる式読書のメモ」記事にします。ブログ記事として書くことによって、放置されるよりもそれが意識に刻まれる程度は強くなります。それにより、将来その情報や図書を利用・精読する可能性が生まれます。多様な情報・図書を意識することによって、趣味活動の質が向上し、楽しみが深化することを期待します。

参考

ブログ「花見川流域を歩く」2021年7月記事

〇は閲覧数が多いもの

ブログ「花見川流域を歩く 番外編」2021年7月記事

ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」2021年7月記事

ブログ「世界の風景を楽しむ」2021年7月記事

ブログ「芋づる式読書のメモ」2021年7月記事


2021年7月ブログ花見川流域を歩く投稿記事サムネイル