2019年8月30日金曜日

3Dモデルで暗い(黒い)土器表面を明るくする方法

展示縄文土器の3Dモデルを作成する場合、多くの場合は多少見づらいことはあっても土器表面の模様や凹凸を認識することができます。
照明が暗くても人の目で認識できる程度の最低限の明るさが確保されているので、原理として撮影写真で模様や凹凸はわかります。従って3Dモデルも作成できます。

ところが鎌ヶ谷市郷土資料館展示阿玉台Ⅳ式深鉢形土器は把手が広がり、胴部が影になり、3Dモデルをつくっても胴部の模様や凹凸が殆どわからないものになってしまいました。

阿玉台Ⅳ式深鉢形土器の3Dモデル

阿玉台Ⅳ式深鉢形土器の3Dモデル 胴部拡大

これでは困りますのでどのようにしたら暗い(黒い)土器表面を明るくできるか検討してみました。

1 別フィルターの写真を使う
当初作成3Dモデルはポップアートという色が鮮やかに発色しているフィルター写真をつかったものです。別フィルター写真としてビビッド(普通写真に近い)、ドラマチックトーン(コントラストが強く暗い部分が明るくなる)で3Dモデルを作成してみました。
いずれもポップアートより土器表面の模様や凹凸が見やすくなりますが、満足できるものではありません。

2 写真の露出を変える
利用写真64枚の露出を同じ割合で明るくなるようにLightroom Classic CCを利用して変更してみました。
この方法で作成した3Dモデルは見違えるような明るい画面となり胴部の模様や凹凸がよくわかるようになりました。

阿玉台Ⅳ式土器深鉢形土器の3Dモデル(露出変更バージョン) 胴部拡大

暗い(黒い)土器表面の模様・造形を見やすくする決め手としての露出変更

3 感想
暗い(黒い)縄文土器の3Dモデルを作成して、その表面の観察がその暗さ(黒さ)に起因している場合、今後は写真の露出を変えて見やすくすることにします。また過去に作成した見づらい3Dモデルもこの方法で作り直すことにします。

2019年8月28日水曜日

便利なChrome画面複製機能

ブラウザにChromeを使っています。またモニターは複数枚(4枚)使っています。
ブラウザの画面を同じもの二つをつくり両方を見比べたいときが時々あります。
英語画面を自動翻訳したとき、その翻訳の原語を知りたいときとか、何かの入力画面でその入力位置はそのままにして画面の上の方とか下の方を見たいときなどです。
これまではいちいち新規タブから新しい画面をつくり、そこから目的とする画面までリンク等をたどって移動していました。かなり面倒くさい作業でした。
ところがChrome画面の現在のタブを右クリックすると「タブを複製」というメニューがあり、それをクリックすると現在画面複製ができました。

英語画面と複製画面(機械翻訳した画面)
私にとっては少なくとも10年前には知っておくべき機能です。無手勝流パソコン利用者の悲しいところです。
エクスプローラー画面のワンタッチ複製も出来るようになり、遅ればせながらパソコン操作が徐々に効率化しています。
2019.05.14記事「今開いているエクスプローラー画面の複製

2019年8月24日土曜日

ファイルの自動命名に多様な文学表現を使う楽しいソフト

パソコンソフトが行うファイルの自動命名はほとんどが連番であったり、秒単位までの時刻を利用したものがほとんどです。
ところが3DF Zephyr Liteは次のように多様な文学表現を使います。

3DF Zephyr Liteのファイル自動命名による文学表現
・私の偉大3Dリコンストラクション
・私の美しい3Dリコンストラクション
・私のあごを落とす3Dリコンストラクション
・私の壮大な写真からの3Dモデル
・私の印象的3Dシーン
10種類以上は使っているようです。

3DF Zephyr LiteがSketchfabにファイルをアップする時、このような文学的表現で命名します。命名は自分には操作できません。
アップ前に命名を考えるよりもアップ後命名を自分好みに変更しますから、ソフトがかってに命名していただいて大いに結構です。
そしてそれが時刻や連番ではなく、文学表現であり、3Dモデルの内容を扱う思考・感情と一時的とは言えとても相応しものになっています。
3DF Zephyr Liteはどうもイタリア原産のようですが、その文化の優美さに感心します。
なお、「私のあごを落とす」という用法は古い用法であり私は「おいしいものを食べるとほっぺたが落ちる」と使いますから、イタリアで日本語化するときに使った辞書が古かったのかもしれません。

3Dモデル化ソフトである3DF Zephyr Liteに愛着を覚えます。

2019年8月9日金曜日

展示縄文土器の3Dモデルの質にかかわる条件

展示縄文土器の3Dモデルを作成する場合、その出来栄え(質)に影響する会場の施設条件を体験的にまとめてみました。

縄文土器3Dモデル作成の出来栄えに影響する条件

縄文土器3Dモデル作成の出来栄えに影響する条件
1 照明 明るいほどよい
2 ガラス面の存在 ガラス面反射が悪影響する
3 対象物までの距離 距離が近い方がよい
4 撮影場所移動可能性 多様な角度からの撮影が必須
5 近くの壁や物の存在 壁や物が近くに無いほうがよい

1 照明
最も重要な条件は照明であるように体験しています。
会場の明るさ・暗さではなく、土器に当たる光の強弱が問題です。土器に当たる光が弱いとシャッタースピードが遅くなり、微妙な手振れ写真が多くなり、3Dモデルの質が落ちます。一方光が強いとシャッタースピードが速くなり同じ操作でも手振れはなくなり、3Dモデルの質が高まります。このシャッタースピードの違いによる微妙な手振れ感覚は写真観賞ではあまり感じないレベルですが、3Dモデル作成では大いに関係してきます。

2 ガラス面
ガラス面が無いことが良いに決まっていますが、ガラス面があっても反射光が弱ければ大きな影響がない場合もあります。

3 距離
土器と撮影場所の距離が大きくなると3Dモデルにおける精細さが減じます。

4 撮影場所移動可能性
土器の回りをどれだけ移動してどれだけ多様な視点から撮影できるかという条件が照明の次に重要なものであると体験しています。ショーケースの端奥に置かれた土器は多様な視点からの撮影ができませんから難の多い3Dモデルになってしまいます。

5 近くの壁や物の存在
土器の近くに壁や他の土器あるいはプレートなどがあると円満な3Dモデル作成が困難になります。


2019年8月3日土曜日

技術メモ 地形3Dモデルにおけるメッシュ大きさの効果

QGISで地形3Dモデルを作成できるようになったので、メッシュ大きさの3Dモデル効果を確認しておきます。

1 1/25000地図を3Dモデルにした場合

A 30mメッシュの3Dモデル

A 30mメッシュの3Dモデル作業図

B 5mメッシュの3Dモデル

B 5mメッシュの3Dモデル作業図

詳しくみると30mメッシュの方が粗く、5mメッシュの方が精細であることは確認できますが、一見した場合その精度の違いに気が付くことはありません。
従って1/25000地図程度のスケールで物事を考える場合の地形3Dモデルは30mメッシュで十分であると言えます。

2 1/6464地図を3Dモデルにした場合
(1/6464縮尺の数値に意味はありません。1/6000程度というくらいの意味です。)

C 30mメッシュの3Dモデル

C 30mメッシュの3Dモデル作業図

D 5mメッシュの3Dモデル

D 5mメッシュの3Dモデル作業図

30mメッシュの3Dモデルでは地形の襞があらく、水面も波打ちます。一方5mメッシュでは地形の襞が精細に表現され、圃場整備の段々も表現されます。
おそらく1/10000地図程度のスケールより縮尺を拡大して物事を考える場合の地形3Dモデルは5mメッシュにすると好都合であると言えます。

3 感想
・千葉県全体とか県内自治体の範囲程度の空間を思考対象とする場合、地形3Dモデルは30mメッシュで十分であると考えられます。
・30mメッシュはJAXAによって全世界が整備されていて、自由に使うことができますので、この精度で全世界のどこでも地形3Dモデルを作ることができるということは感動を覚えます。ペルーのみならず関心のある海外考古事例について、今後積極的に地形3Dモデルを作成することにします。
・5mメッシュは人工改変の無い場合、きわめて精細な地形分析をすることが出来る資料です。

2019年8月1日木曜日

2019年7月ブログ活動のふりかえり

ブログ「花見川流域を歩く」とそのファミリーブログの2019年7月活動をふりかえります。

1 ブログ「花見川流域を歩く」
7月の記事数は51で月間記事数では過去最多となりました。次のような項目について縄文土器等学習を進めました。
・観察土器の3Dモデル作成
・土器形式別千葉県遺跡数集計
・土器形式別千葉県遺跡分布図作成
・1巡目土器学習のまとめ

土器形式別千葉県遺跡分布図作成から多くの情報を得ることが出来たので、必要な検討を加えるために貴重な時間を投下しました。そのため当初イメージより半月遅れで1巡目土器学習を終えました。

2 ブログ「花見川流域を歩く 番外編」
パソコン利用時のテクニックなど8編の記事を書きました。

3 ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」
早朝散歩記事9編を書きました。雨の早朝が多いため散歩回数が減り、同時に十分な写真が得られないことも多く、記事数がいつもより減りました。

4 ブログ「世界の風景を楽しむ」
6月は休載となりました。

5 ブログ「芋づる式読書のメモ」
7月は休載となりました。

6 7月活動の特徴
7月こそ縄文土器学習1巡目を完結しようと決意し、実現できました。その実現のために活動の日常的焦点が「ブログ記事を書く」ということから、「予定した作業を実施する」ことに移動しました。その結果ブログ本編の記事数は作業の区切り事のため多くなり、他のブログ記事数は減少しました。
なお、遺跡分布図はサイト「千葉県縄文土器形式別出土遺跡分布図」にとりまとめました。

7 8月活動のイメージ
・近隣の縄文土器展示施設をまわって縄文土器個体を出来るだけ多く観察することにします。
・また観察した縄文土器をできるだけ3Dモデル化し、データベース化します。
・以上の活動に使う道具として現場観察支援スマホアプリと3D観察データ標準化仕様を作成します。

8 2巡目縄文土器学習のイメージ
 ブログ「花見川流域を歩く」2019.08.01記事「2巡目縄文土器学習の算段」から引用
1 8月~10月頃 土器観察の徹底
●活動
ア 近隣展示施設の悉皆的訪問観覧、観察個体を増やす。
→その道具として現場観察支援スマホアプリを作成する。
イ 観察個体の3Dデータベース化
→3D観察データ記載のために標準化仕様メモを作成する。
●目標
ウ 形式別器種の様子、器種別出土数の様子をイメージできるようになる
→〇〇という形式の器種はどのような幅があるか。それぞれの器種の相対出土量はどれほどか。器種別出土様態(破壊の程度や埋納の様子等)はどうか。
→小林達雄編「総覧縄文土器」の記述をまとめることで有力情報を獲得できそうである。

2 11月~12月頃 土器から遺跡への視点の転換
●活動
ア 土器形式別の地形(想定)資料作成
→海陸分布、当時の海岸線付近の地形環境推定。
イ 土器形式別主要遺跡
→(その形式時期の縄文社会を知る上での)重要遺跡の抽出と関連資料収集(あるいは所在確認)
ウ 土器形式別縄文社会主要指標の検討
→定住の様子、生業の様子、土器作成技術、石器作成技術、遺構作成技術等についてチェックする。発展期と衰退期のイメージ。
●目標
エ 土器そのものの知識を生かしてより高次の興味である「縄文社会消長分析」に2020年1月からスムーズに移行する。

参考
ブログ「花見川流域を歩く」2019年7月記事
〇は閲覧の多いもの
ブログ「花見川流域を歩く 番外編」2019年7月記事
ブログ「花見川流域を歩く 自然風景編」2019年7月記事
1巡目縄文土器学習の記事

ヒートマップの3D表現に成功

千葉県縄文遺跡分布図のヒートマップを作成し、その3D表現を試みたところ即座にできました。遺跡数が多い場合、遺跡プロット図よりヒートマップの方が全体像を把握しやすいですが、3D表現にすればさらに直観的に遺跡分布を捉えることができます。今後有力な表現方法になりそうです。

千葉県縄文遺跡分布ヒートマップ 表現1

作業図 左はQGIS画面、右はプラグインのQgis2threejs画面

千葉県縄文遺跡分布ヒートマップ 表現2

作業図 左はQGIS画面、右はプラグインのQgis2threejs画面