2020年7月26日日曜日

3Dモデル用撮影における広角(普通)撮影と望遠撮影の併用

展示施設でショーケース等に展示されている縄文土器や石器などの遺物3Dモデルを作成する際の撮影方法が、自分なりに改良されてきていますのでメモします。

1 広角(普通)撮影の功罪
以前はすべて広角(普通)撮影で3Dモデルを作成していました。レンズをいじる必要がありませんし、なによりも広い範囲の展示物を同時に3Dモデルにすることができるので便利です。
1つの3Dモデルを分割して、複数の3Dモデル作成に仕上げることもかなりありました。
しかし、それでは小さい展示物のモデル満足感が少ないことに気が付きました。精度が低いということです。
2020.07.17記事「山形土偶による3Dモデル再現忠実性テスト

2 望遠撮影の有用性
小さい展示物について望遠撮影したところ、仕上がり3Dモデルは広角(普通)撮影よりも確実に良いことを確認しました。そのため最近は望遠撮影が可能な場面ではすべて望遠撮影することにしました。当然ですが多くの場合対象物は1つになります。(望遠にも限界がありますから、小さい対象物が近接して展示されている場合は複数一緒の撮影になります。)

3 実寸法付与のための広角(普通)撮影
ショーケースの外側にスケールを置いてそれを含む3Dモデルにすると、3Dモデルに実寸法を付与できます。これで3Dモデルの有用性が格段に高まります。この撮影は広角(普通)撮影になります。
2020.02.13記事「展示物3Dモデルスケーリングのための撮影法

4 広角(普通)撮影と望遠撮影の併用
2と3の双方の要件を満足させるために、現在はすべて広角(普通)撮影と望遠撮影を併用しています。つまり2回同じ展示物について撮影するということです。
時間はかかりますが、得られる情報満足感は大きいものがあります。

以前のようにより短時間でより多数展示物を3Dモデルにしようという「下品」(?)な気持ちが少なくなりました。
1回の展示施設訪問で作成できる3Dモデルが少なくなりましたが、もっと作成したいと希望するならば、何回でも通って質の高い3Dモデルを作成しようという「上品」(?)な気持ちになりました。


広角(普通)撮影写真 エクスプローラー画面

広角(普通)撮影写真で作成した3Dモデル 未調整画面
ショーケース手前にファイバー製スケールを置いています。

望遠撮影写真 エクスプローラー画面

望遠撮影写真で作成した3Dモデル 未調整画面

2020年7月22日水曜日

離れたドライブやホルダーにあるファイルの所在確認ファイル

離れたドライブやフォルダーにあるファイルがどこにあるのかそのパスを記録したテキストファイルを保存しておきたいことがあります。

自分の場合カメラで撮影した写真はDドライブに保存しておき、ブログ等掲載用に加工して保存する場所はCドライブです。ブログ掲載後時間が経ってから加工前の写真を再び使おうとしたとき、その写真がどこにあるのかすぐに探せないことがあります。
そこで素ファイルがどこに所在しているのか記録しておくと便利です。
その記録方法が十分に確立しましたのでメモしておきます。
次のような状況における技術メモです。
●状況
・素ファイルはDドライブの深い階層下に置いてある。
・素ファイルを加工してブログ掲載用のファイルをCドライブの深い階層の下に置いてある。
・後日、Cドライブのブログ掲載写真を見て、その素ファイルの場所にすぐ移動して素ファイルを再利用したい。
・しかし、素ファイルの場所が(類似ファイルが多数存在するなどにより)思い出せない、探せない。
●解決方法
・Dドライブの写真をCドライブで最初に加工するときに、Cドライブに写真のパスをテキストで記録しておく。
●技術
・エクスプローラーでDドライブのファイルにカーソルを置いて「shift+右クリック」するとメニューに「パスのコピー」があるので、それをクリックする。(そのファイルのパスがメモリーに記憶される。)

「パスのコピー」

・エクスプローラーで作業しているCドライブの任意の場所を「右クリック」してメニューの「新規作成」をクリックして、さらに出てくるメニューの「テキストドキュメント」をクリックする。その場所にテキストファイルができる。

「新規作成」→「テキストドキュメント」

・そのテキストファイルをダブルクリックで開く。さらに「右クリック→貼り付け」する。テキストファイルにDドライブのファイルのパスがコピーされる。
●利用
後日Cドライブのテキストファイルを開けば、素ファイルのパスが出ているので、そのファイルに迷うことなくアクセスできる。

言葉で説明するとなかなか厄介ですが、パソコン操作上は慣れれば大変便利です。
また、上記例とは反対の利用もしています。(素ファイルがどのブログ記事で利用されているかなど)



2020年7月17日金曜日

山形土偶による3Dモデル再現忠実性テスト

2020.06.20記事「カメラ焦点距離と3Dモデル再現忠実性」2020.06.23記事「数センチ程度小展示物の学習用3Dモデル資料について」の続きです。
加曽利貝塚博物館常設展展示山形土偶(千葉市加曽利貝塚)について焦点距離の短い広角撮影と焦点距離の長い望遠撮影の双方を行い、作成した3Dモデルの再現忠実性をチェックしてみました。

1 3Dモデル再現忠実性チェック

山形土偶3Dモデル再現忠実性チェック 1
上 焦点距離14.00㎜(35㎜判換算28㎜) 広角撮影
下 焦点距離150.00㎜(35㎜判換算300㎜)望遠撮影

広角撮影の方が望遠撮影よりぼやけていますが正面からみると極端な違いは感じません。

山形土偶3Dモデル再現忠実性チェック 2
上 焦点距離14.00㎜(35㎜判換算28㎜) 広角撮影
下 焦点距離150.00㎜(35㎜判換算300㎜)望遠撮影

3Dモデルを斜めから見ると広角撮影の目鼻口などの結像が不十分であることがよくわかります。結像にメリハリがありません。また「高さ」がありません。のっぺりした感じの結像になっています。3Dモデルの場合光学写真と異なり情報を計算してもっともらしく描画しているだけです。ありのままではなく、あくまでも近似的な像であるのです。

広角レンズによる撮影と望遠レンズによる撮影では対象物(山形土偶)に関する情報量が違うので、再現忠実性が異なるということです。

このことから、写真下の望遠レンズ撮影3Dモデルも光学撮影像と比べると完全な再現が行われていないということになります。3Dモデルといわれるものの原理は、どんなに精密機器を使ってもあくまでも近似的モデルです。近似的でも目的に対して実用的であれば有用であるということです。

山形土偶3Dモデル再現忠実性チェック 3
上 焦点距離14.00㎜(35㎜判換算28㎜) 広角撮影
下 焦点距離150.00㎜(35㎜判換算300㎜)望遠撮影

広角撮影像は正しく結像していません。横沈線がずれています。
実はこの3Dモデルは土偶から離れた場所にある石棒の3Dモデルを作成したとき、その3Dモデルの端にこの山形土偶が生成されていたので切り抜いて作成したオマケです。通常は広角撮影でもその対象物を目標に撮影すれば、これほどひどいものにはなりません。

参考 3DF Zephyr Liteの画面におけるカメラ表示
上 焦点距離14.00㎜(35㎜判換算28㎜) 広角撮影
下 焦点距離150.00㎜(35㎜判換算300㎜)望遠撮影
3Dモデル作成ソフト3DF Zephyr Liteではカメラの位置だけでなく画角も表示していることを知りました。

2 3Dモデル

みみずく形土偶と山形土偶 観察記録3Dモデル
みみづく形土偶:縄文後期安行2式、千葉市加曽利貝塚 南貝塚史跡整備第2調査区
山形土偶:縄文後期加曽利B3式、千葉市加曽利貝塚 南貝塚(Ⅴトレンチ)
撮影場所:加曽利貝塚博物館
撮影月日:2020.06.02
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 93 images

山形土偶(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル
縄文後期加曽利B3式、千葉市加曽利貝塚南貝塚(Ⅴトレンチ)
撮影場所:加曽利貝塚博物館 常設展示
撮影月日:2020.07.14
ガラス面越し
撮影 3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v.5.001 processing 39 images

2020年7月1日水曜日

2020年6月ブログ活動のふりかえり

ブログ「花見川流域を歩く」とそのファミリーブログの2020年6月活動をふりかえります。

1 ブログ「花見川流域を歩く」
6月の記事数は28編です。
加曽利貝塚博物館観覧で撮影した写真から3Dモデルを作成して考察した記事をメインの書きました。石器だけでなく土偶にも関心が及びました。
縄文時代人口問題の興味も深まり記事を書きました。気温低下により後期晩期の人口が減少したという説に疑問があり、まだ十分に学習を展開できていません。
前田耕地遺跡、見高段間遺跡の学習をおこないました。
国宝土偶「縄文のビーナス」について集中的に検討しました。「子どもへの投資」という新しい視点からの学習です。

2 ブログ「花見川流域を歩く 番外編」
Blender操作入門記事や3Dモデル作成技術に関する記事など6編を書きました。

3 ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」
早朝散歩記事15編を書きました。

4 ブログ「世界の風景を楽しむ」
ナスカ地上絵とストーンヘンジなどについて7編の記事を書きました。趣味活動全体のなかでこのブログは息抜き的活動として位置付けています。しかし、ついつい面白くなって深めようとしてしまい、趣味活動全体の時間・エネルギー配分をゆがめてしまう元凶になることがあります。

5 ブログ「芋づる式読書のメモ」
山田康弘著「縄文時代の歴史」(2019、講談社現代新書)学習記事を6編書きました。この図書の第4章は6月に学習するという計画を実行することができました。

6 6月学習の特徴
山田康弘著「縄文時代の歴史」(2019、講談社現代新書)の「前期・中期」学習を軸にして、そこから派生する諸問題を寄り道学習としてブログ本編で記事にしました。その際、技術的興味はブログ番外編で記事にしました。同時に、散歩は自然・風景編、海外息抜きは世界風景でしました。目指したブログ活動スタイルが6月になって定着できたようです。

7 7月活動のイメージ
基本は6月活動と同じで、軸学習は「第5章 後期・晩期」に移行します。
コロナの規制も緩やかになりつつあるので、展示館訪問→石器等の3Dモデル作成→3Dモデルを使った学習を近隣展示館や遠方の展示館に広げることにします。
中途半端な技術習得になっているBlenderについて集中取り組みして、基本操作ができるようになりたいと思います。

参考
ブログ「花見川流域を歩く」2020年6月記事
〇は閲覧が多いもの

ブログ「花見川流域を歩く 番外編」2020年6月記事

ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」2020年6月記事

ブログ「世界の風景を楽しむ」2020年6月記事

ブログ「芋づる式読書のメモ」2020年6月記事

3Dモデルを作成した主な土偶・人面土版
地理院地図3Dモデル(色別標高図+陰影起伏図)
垂直倍率:×9.9
アノテーションからブログ記事にリンク

ブログ「世界の風景を楽しむ」2020.06.26記事「世界歴史考古3Dモデル80の地球型3D配置モデル」で紹介した3DモデルAround the World in 80 Models Posts by Abby Crawfordの仕組みを早速自分の手持ち資料に適用してみた技術試作物です。