2015年5月30日土曜日

小字データベースの分布図展開実験

千葉県小字地名データベースの基本様式に住所欄を追加しました。

住所欄を追加した小字データベース

小字、大字、市町村情報があるのですから住所情報はエクセルの関数で即座にできます。

この住所欄を含むデータベースをCSVファイルにしてアドレスマッチングにより位置情報を付加して、GISにプロットしてみました。

佐倉市を事例にこの操作を行ってみると、小字情報1576件が大字76件の位置に重なって表示されます。

佐倉市を例とした小字情報のプロット
76ドットに重なり集約されて小字1576件が表示されている。
大字情報を表示するように設定してプロットしている。

この実験から、小字データを大字中心地にプロットできることがわかりました。

小字のおおよその地理的位置がわかるということは、作業上とても有用なツールを開発したということになります。

ある問題意識から検索した小字リストを即座に分布図化できます。

プレゼンを考慮しない、真の自分自身の検討が大いに効率化することは間違いありません。発想力の加速が期待できます。

また、広域の検討(千葉県全体など)ではこの情報をもって正式な分布図に代替することもある程度可能です。

素晴らしい実験結果を得ることができました。

2015年5月29日金曜日

千葉県小字地名データベースの様式

全国墨書土器・刻書土器データベースでFile Makerを使っていることを知り、File Makerが検索をする上でExcelと比べて格段に優れ、さらに検索結果をファイル出力できることを体験しました。

この体験でデータベースというもののイメージを得ることができました。

早速、現在作成している千葉県小字地名データベースのうち佐倉市分を例にして、File Makerで使えるようにExcelで作成し、File Makerで試用してみました。

次の画像は角川の千葉県地名大辞典付録小字リストです。

角川の千葉県地名大辞典付録小字リスト

このリストをスキャンして、DocuWorksでOCR処理し、エディタに読み込み、調整すると次のような電子化成果物が生れます。

エディタで作成した小字電子化成果物

これまでこの電子化成果物をエディタのキーワード俯瞰機能を利用して検索していました。検索結果をファイル出力することもできます。

ここでは、この電子化成果物をExcelに読み込み、幾つかの作業マクロを活用して、次のような表形式に変換してみました。

Excel上で作成した一覧表

データベースらしくなりました。

このExcel一覧表をFile Makerで読み込み検索すると次のような画面になります。

File Makerで小字データベースを検索した結果 (小字名に「部」を含む結果表示)

検索が容易です。複雑な検索を行うこともできます。

とてもわかりやすい結果を得ることができました。この結果をExcel出力することもできます。

当面は、千葉県小字地名データベースの様式基本はこのようなものにして作成して、使い勝手を試していくつもりです。

2015年5月28日木曜日

墨書土器特定文字の全国分布図作成方法

公開されている全国墨書土器・刻書土器データベース(csvファイル)(明治大学日本古代研究所)から特定文字の簡易全国分布図作成方法をメモしておきます。

1 全国墨書土器・刻書土器データベース(csvファイル)のダウンロード
サイト明治大学日本古代研究所からcsvファイルをダウンロードします。

2 csvファイルから特定文字を含むデータだけのcsvファイルを作成する
csvファイルをExcelに読み込んで、Excelの検索機能により特定文字を含むデータを検索することはすぐできます。

しかし、検索結果をファイル出力する機能はExcelに標準装備されていません。

マクロを組めば可能だと思います。

私はFile Makerにcsvファイル読み込み、そこで検索し、その検索結果をExcel出力して、そのExcelからcsvファイルを作りました。

現在のところ、私のFile Makerは1ヶ月限定の試供版ですが、大変便利なソフトであることを実感しました。

例 「村」を含む文字データの数
●データベース全体のデータ数 約117000件
●「村」を含むデータ数 148件
●「村」1語だけのデータ数 40件

参考 検索にエディターは不向き
エディタにより「村」を検索すると631件の行がヒットします。
これは、釈文の項目以外の項目(遺跡名、住所等)を含めて「村」を検索しているからです。
ですから、631件からさらに釈文の項目に「村」が含まれているデータだけを抽出する必要があります。
このような手間がかかるので、このデータベースの検索ではエディタは不向きです。

3 特定文字データファイル(csvファイル)にアドレスマッチングにより経度・緯度情報を付加する
WEB「東京大学csvアドレスマッチングサービス」の機能を利用して特定文字データファイルに位置情報を付加します。

東京大学csvアドレスマッチングサービスの機能画面

4 特定文字データファイル(位置情報付加csvファイル)をGISに取り込む
特定文字データファイル(位置情報付加csvファイル)をGISに取り込み、地図を作成します。

例 「村」を含むデータプロット

例 「村」1語のみのデータプロット

(「村」を含むデータの大半は○○村が多く、地名が多いと考えます。ですから全国的に分布が拡がります。「村」1語は新規開発地それも農業集落ではなく掘立柱建物群を指すと考えられ、蝦夷戦争に関わりの深い地域に分布します。)

メモ
全国墨書土器・刻書土器データベース(csvファイル)(明治大学日本古代研究所)では県別に細部の書式や記述精度が異なります。
またアドレスマッチングに使う住所表示も不統一です。
このため、検索結果である特定文字データファイルについて書式上の調整等が必要となります。

2015年5月27日水曜日

2015.05.27 花見川風景

日の出
電柱と電線が邪魔ですが、どうしようもありません。

花見川
雲一つない快晴とは今朝の空を表現する言葉です。

花見川
霞が少しかかり、樹の影が青っぽく見えます。

上ガス(天然メタンガス)

朝日

弁天橋から下流

弁天橋から上流

桃の実
路傍の桃の木の実がいつもの年より沢山生っています。

2015年5月26日火曜日

Kindle for PCを活用する

最近WEB検索しているとKindle本がヒットすることがあり、入手して内容を確かめたい本もあります。

一方、Kindle for PCが日本で公開されたという情報にも接しました。

これまでKindleという商品(端末+ソフトのシステム)そのものに特段の興味はなかったのですが、一般書籍にはなく、Kindle本だけで出版されている本があることに気がつきました。

Kindle for PCが無料ソフトであることも考慮して、PC関係の戦線拡張はできるだけしないという一線を越えて、Kindle for PCのダウンロード、Kindle本購入に突き進みました。

Kindle for PCのダウンロード画面

実際に幾つかのKindle本を購入ダウンロードしてみると、Kindleというシステムが自分にとって有用ツールとして使えるようだという印象を持ちました。

自分は最寄駅に立ち寄った際に駅ビル内の本屋に入り、目に入った本を衝動買することがあります。
また、旅行で遠くへ出かけた時の待ち時間に最寄の本屋に入り、目に入った本を衝動買することがあります。
衝動買した本は結局読まないものもあれば、その後の生活・趣味で大いに役立つ本もあります。

そうした衝動買をする本屋の一つとしてKindleを活用できるということに気がつきました。

購入したKindle本は自宅デスクトップパソコンだけでなく外出先のパソコンや旅行に持参するタブレットパソコンでも利用できますから便利です。

2015年5月25日月曜日

墨書土器データのヒートマップ作成

WEBサイト明治大学日本古代研究所からダウンロードした全国墨書・刻書土器データベース(csvファイル)をアドレスマッチングにより地図にプロットし、その情報にもとづいてカーネル密度推定(半径パラメータ20000m)によりヒートマップを作成してみました。

(ヒートマップ作成はQGISの機能を利用しました。アドレスマッチングは東京大学csvアドレスマッチングセンターの機能によりました。地図作成に係る各種調整は地図太郎PLUSの機能を利用しました。)

アドレスマッチングにより作成したプロット図は、一見もっともらしいのですが(「つくった」というレベルのプレゼンテーションならこれで十分ですが)、実はとても「不公平」なドット図です。

1遺跡から墨書土器が1点出土しても1ドットになります。一方、同じ大字に数か所の遺跡があって、それぞれから数百点の墨書土器が出土してもドットは1点です。

こうした「不正確性」(「不公平」)を除去するのにヒートマップは威力を発揮します。またヒートマップはアドレスマッチングによる位置の不正確性を除去するという効果もあります。(ブログ本編2014.09.09記事「遺跡分布ヒートマップ図の原理的有効性」参照)

1 全国対象ヒートマップの作成
墨書土器出土数の少ない北海道と沖縄を除いた全国のヒートマップを作成しました。

ヒートマップ作成に用いたドット図
画像としてのドット図は上で説明したように誤解を招くような側面をふくんでいます。
電子的なドット情報は約11万7千データあり、1ドットに千以上のデータが重なっているところもあります。

作成したヒートマップ
赤が墨書土器出土密度が最も高く、次いで白、青が最も低いことを示しています。

参考 ドット図とヒートマップのオーバーレイ図

2 本州主要部のヒートマップ図
1で作成した地図のうち本州主要部を拡大してみました。

ヒートマップ作成に用いたドット図

作成したヒートマップ

参考 ドット図とヒートマップのオーバーレイ図

これらの地図について詳しく検討することは、別の機会に行い本編ブログで記事にしたいと思っています。

ただ、関東平野の墨書土器出土高密度地域(赤のゾーン)が千葉(下総国)と群馬-埼玉-東京-神奈川の2箇所に分かれて分布していることに大いに興味が湧いたことをメモしておきます。

千葉(下総国)の赤ゾーンは名実ともに日本最大の墨書土器出土地であると考えます。

一方、群馬-埼玉-東京-神奈川に連担して拡がる赤ゾーンは関東西部山地の麓の山野辺の道沿い(東山道と東海道の連絡路沿い)であり、現代都市構造と大きく異なる古代の集落連担地構造が良く見えます。

この二つの赤ゾーンが律令国家初期の蝦夷戦争において果たした役割の違いや相互関係に興味が湧きます。

私にとって、関東平野の駅路網の意義を直感的に深めることができる情報となっています。

2015年5月24日日曜日

蝦夷戦争出征将兵個人の移動確認史料を発見できるか

墨書土器の筆跡鑑定により同一個人が書いた史料(墨書土器)を特定できるのではないかと考えています。

次は八千代市白幡前遺跡出土の墨書文字「生」の例です。

八千代市白幡前遺跡出土墨書文字「生」の例

白幡前遺跡だけで文字「生」の書かれた史料は90以上あり、同一出土地点等の状況を考慮して仔細に検討すれば同一個人が書いた可能性の高い史料を見つけ出すことは可能だと思います。

筆跡は画像ですから、筆跡鑑定ソフトを使えば高精度な同一個人墨書の特定が可能だと考えます。

そこで、同一個人が書いた可能性が高いことを示す筆跡鑑定が画像分析で可能であると考えます。

そのような前提を設けると、画像つき墨書土器データベースが全国レベルで整備されているので、蝦夷戦争出征将兵個人の移動確認史料の発見可能性が眼前に見えてきます。

ブログ「花見川流域を歩く」の八千代市白幡前遺跡(蝦夷戦争の最大兵站基地)の墨書土器検討で、「生」は戦地に向かう将兵一般が使うポピュラーな祈願文字であったと考えました。(2015.05.11記事「八千代市白幡前遺跡 墨書土器の文字検討 その1」参照)

戦地に向かう将兵Aが白幡前遺跡(兵站基地)にある期間逗留して、そこで文字「生」を土器に墨書して戦死回避を祈願することがあったとします。
その将兵Aが陸奥国に向かう別の途中基地で、あるいは陸奥国戦場近くの基地で再び文字「生」を土器に墨書して戦死回避を祈願したとします。

このような想定をすると、特定個人が蝦夷戦争出征に伴い移動途中で複数の墨書をしたことになります。

次の図は「生」文字が含まれる墨書土器データの分布図です。

文字「生」を伴う墨書土器が出土した遺跡分布

文字「生」を伴う墨書土器データは全国で840件あります。

840件の画像「生」を分析して同一個人が書いた可能性が高い史料を見つけ出すことは、パソコンを使えば(筆跡鑑定ソフトを使えば)容易な作業であると考えられます。

画像つきの全国墨書土器データベースが一部都県で整備されている(秋田県、茨城県、栃木県等26都県)ので、検討条件を整備すれば(筆跡鑑定ソフトを入手するなどすれば)、蝦夷戦争に出征した特定個人の複数移動ポイントを見つけ出すことが可能であることに気がつきました。

自分の古代交通関連問題意識が花見川流域や下総国レベルから拡がり、東北全体をカバーするような発展的状況が生まれた時には、全国を対象とした墨書同一個人特定プロジェクトに取り組みたいと思います。

2015年5月22日金曜日

全国墨書土器データ11万7千件のプロット図作成

専門家の方に教えていただいたWEBサイト「明治大学日本古代研究所」に所在する全国墨書・刻書データベース(CSVファイル)をダウンロードして、操作することによってデータベースの概要を観察しました。

墨書・刻書データは全部で約11万7千件あります。
その都道府県別内訳は次の通りです。

都道府県別墨書土器データ件数(リスト)

都道府県別墨書土器出土件数(グラフ)

都道府県別にみると、千葉県が21048件でダントツの1位です。
2位が福島県、3位が奈良県となります。

墨書土器最盛期は奈良時代から平安時代初期のようですから、丁度蝦夷戦争最盛期の頃です。

そうした時代背景から、墨書土器分布は蝦夷戦争に関わる官人活動の強弱(=律令国家の国家活動の強弱)と相関していると考えています。

千葉県は蝦夷戦争の戦略的兵站基地ゾーンであり、福島県は戦地の入口であり、双方とも律令国家の直轄領的位置づけがあったと想像しています。

千葉県や福島県で墨書土器出土が都奈良より多いのはこうした背景によると考えます。

約11万7千件のデータをアドレスマッチングにより地図にプロットしてみました。

全国墨書土器データ分布

九州~関東 墨書土器データ分布

関東~東北 墨書土器データ分布

関東 墨書土器データ分布

アドレスマッチングによるプロットですから正確なものではありません(※)が、分布の概略は知ることができます。

※ 平均して数百メートルの誤差があります。この記事掲載のような広域図では無視できます。

大局的に見ると古代道路に沿って墨書土器分布が連なっていて、私が興味を持つ古代駅路網と強く相関すると考えます。

駅路網検討の材料として使えると思います。逆に駅路網が戦争遂行という国家活動に果たした役割を検討する材料にもなります。

詳しい検討は機会を見つけてブログ本編で行うこととし、この記事では墨書土器データベースが公開されていて、簡単なGIS操作により簡易分布図を作成できるということを紹介するにとどめます。

2015年5月17日日曜日

墨書土器データベースの画像あり情報を使ってみる

専門家の方から教えていただいた明治大学日本古代学研究所の「全国墨書・刻書土器 文字瓦 横断検索データベース」の画像ありデータを利用してみました。

画像ありデータは26都府県について整備されています。

画像ありデータはFile Makerファイルとなっています。

File Makerは所持していないので、1ヶ月無料で利用できる試供版をダウンロードして、千葉県墨書土器データベースを使ってみました。

千葉県墨書土器データベースの画面(カード形式)

千葉県墨書土器データベースの画面(一覧表形式)

1件のデータは画像と20項目から成り立っていて、20項目毎にカード形式でも一覧表形式でも検索できるようになっています。

実際に使ってみて、大変効率的な検索ができることを実感しました。

特にカード形式で検索結果を画像で確認できることは素晴らしいことです。

同時に検索結果をExcelファイルに出力することも簡単にできます。

これまで紙版の図書「千葉県の歴史 資料編古代 別冊 出土文字資料集成」を使ってきているのですが、画像ありデータ(File Makerファイル)を使えばはるかに効率的な検討ができることがわかりました。紙資料は不要になります。

また次のような作業も気軽にできます。

例えば、画像を確認しながらある文字(例「生」)で検索して、千葉県全体の出土状況を絞り込むことができます。
その結果をExcelに出力することができます。
そのExcelファイルに基づいてアドレスマッチングをすれば、ある文字(例「生」)の出土遺構をGISにプロットできます。簡単に、墨書文字「生」出土遺構の分布図(簡易分布図)ができます。

この方法では遺跡内分布を知ることはできませんが、下総国全体という広域レベルの分布(簡易分布)を効率的に知ることができますから、検討を深めるための強力ツールになると思います。

File Makerというデータベースソフトの高機能性と使い勝手の良さにより、墨書土器データベースの活用可能性が大きいと感じました。

2015年5月15日金曜日

千葉市人形塚古墳から出土した構造物法線

ブログ本編2015.03.29記事「古墳築造時の構造物法線(現場指示地割線)が出土したという事実を知る」で人形塚古墳の築造時構造物法線(現場指示地割線)について紹介しました。

最近、ある機会にこの人形塚構造物法線発掘を含む報告書を見つけることが出来、ざっと読んだところ、3月29日記事で自分が考えていたことが間違っていたことがわかるとともに、この法線を使った工事の仕方が少しだけわかりましたので、その訂正とメモを記事にします。

報告書は「千葉東南部ニュータウン35-千葉市椎名崎古墳群B支群-」(平成18年3月 独立行政法人都市再生機構・財団法人千葉県教育振興財団)です。

1 訂正
ブログ本編2015.03.29記事「古墳築造時の構造物法線(現場指示地割線)が出土したという事実を知る」で、空中写真から、構造物法線が構造物の法肩を表していると考えましたが、詳細図面を見ると、後円の外円、内円は法尻を、前方の4本の直線は外側が法尻を、内側が法肩を表していることがわかりました。
従って上記記事の考察は不適格なものでした。

2 構造物法線設置後の計画変更
出土した構造物法線と実際の構造物形状が前方部では合っていません。

墳丘計画線と盛土断面図
「千葉東南部ニュータウン35-千葉市椎名崎古墳群B支群-」(平成18年3月 独立行政法人都市再生機構・財団法人千葉県教育振興財団)より引用

報告書ではこの誤差について、構造物法線(墳丘計画線)設置後に設計変更があり、後円中心部を中心に前方部だけ北方向に約5度回転させたと検討しています。

その検討にもとづいて実際の構造物を図面上で設計変更前の状態で作ったと考えて見ると、次のようになります。

人形塚古墳の墳丘規格と設計線(修正後)
「千葉東南部ニュータウン35-千葉市椎名崎古墳群B支群-」(平成18年3月 独立行政法人都市再生機構・財団法人千葉県教育振興財団)より引用、一部塗色

構造物法線と実際の構造物がピタリと一致します。

なお、構造物は左右対称ではなく、東側の埴輪が乗るテラス(ピンク)が広く、またその上部の斜面(ブルー)が緩くなっています。
報告書では最初からこのように空間的演出を考慮して古墳が設計されていることをするどく指摘しています。

3 構造物法線を利用した工事の仕方
上記「墳丘計画線と盛土断面図」の盛土断面図では図が潰れて詳細が判りませんが、印刷物を拡大して仔細に検討すると、次のような工事進行の様子を模式的に推定できました。

外周計画線と内周計画線を利用した工事進行の想定

盛土アが先で、次に盛土イが行われたことがわかります。また、盛土アの内周計画線側は直立状の境になって区切られています。盛土イを行うために内周計画線を保全したのだと思います。

2015年5月14日木曜日

外付け電子辞書の威力

外付け電子辞書の利用について以前記事(ブログ本編2014.11.26記事「外付け電子辞書の活用」)にしたことがありますが、墨書土器の文字検討にとても役立っているので、メモしておきます。

使っている製品はDF-X10001(セイコーインスツル株式会社)で、本来英語専門家用製品ですが、私はこの電子辞書をパソコンに外付けして、パソコン画面に呼び出して、主として次の辞書を利用しています。

外付け電子辞書で利用している主な辞書
●改訂新版 世界大百科事典(平凡社)
●角川類語新辞典(角川)
●精選版 日本国語大辞典(小学館)
●広辞苑 第六版(岩波書店)
●明鏡国語辞典(大修館書店)
●新漢語林(大修館書店)

ある言葉を入力すると、上記辞書の記述を串刺しで全部見ることができます。

ある言葉の意味や用例(や挿絵・表など)を上記6辞書を串刺しで検索できて、その内容をコピペできるということは、極めて効率的な活動で、発想を刺激します。

上記図書(紙版)は全部所持していますが、同じことを紙版図書で実行することを考えると、眩暈がするような非効率になります。

そもそも机のまわりに上記図書全部を揃えるだけで、一大事です。ほかの興味の作業を行うスペースが無くなります。

同時に、図書のページをめくって調べ事をするという本来行為以外に、各図書を取り出し机の上に載せることと、机から元あった場所に戻すという作業が結構な肉体労働になります。

連続してこの肉体行為を行うということは、腕が疲れるということまではいかないにしても、知的気力面で強い心理的ブレーキの役割をはたします。(いつまでも辞書の出し入れをするのではなく、もっと成果が表れる作業をしようという心理になり、言葉の意味を徹底して知らべるという気力がいつの間にか侵蝕されてしまいます。)

パソコンで国語大辞典、新漢語林(漢和辞典)、世界百科事典という種類の違う3種の辞書を串刺しで検索できることは素晴らしいことです。

言葉の意味調べに関して、そうした環境が無かった時の自分の情報量と質は、現在の情報量と質と比べて目に見えて劣ります。レベルの違いを実感しています。

電子辞書のパソコン画面例 漢字「提」を入力

本当ならば、こうした検索環境がWEBにあればよいのですが、現状では自分が欲しいレベルの情報で、なおかつ出典を明示できるようなしっかりした情報をWEBに求めることは困難です。

2015年5月12日火曜日

2015.05.12 花見川風景

空気が生温かい早朝でした。

沖縄まで進んだ台風に元がある風が低い雲を走らせていました。

横戸緑地下

横戸緑地下

高空の雲の下面が朝日を受けて輝き、低空の走る雲が朝日を遮り、コントラストが騒がしい空模様でした。

弁天橋近く

弁天橋近く

弁天橋から下流

弁天橋から上流

牧草を刈って天日干ししていて、干し草の匂いがあたり一面に漂います。

干し草の風景

2015年5月11日月曜日

則天文字

八千代市白幡前遺跡出土墨書土器の文字を検討していて、則天文字が含まれていることを知り、則天文字の概要について学習しました。

則天文字の概要(Wikipediaから引用)
武則天は中国史上ただ一人の女帝であり、今までの慣わしを何でも改めるのが好きな人物であった。彼女が変更しなかったのは服装ぐらいのもので、まず国号を唐から周に変えた。改元は頻繁であり、官職名も変えた。中でも有名なのは、新たに字を作ったことである。彼女は自らの思想と政治力によって、あたかも服を着替えるかのように簡単に文字を変更した。この文字は後世「則天文字」と呼ばれるようになった。
例えば「天」の文字は𠑺に改められた。これは「天」の字の篆書体である。もっとも、このように形を変えただけの文字は例外であり、ほとんどの文字は新たに作られたものである。
則天文字が何文字あるかはよく分かっておらず、12、16、17、18、19、21個の各説があり、すべての説の文字をあわせると30字前後になる。もっとも、印刷や手書きの都合で異体字となっているものもあり、現在のところは17個説が有力である。
則天文字が使われたのはわずか15年間であったが、従来の文字にも影響を与えた。文化財などに書かれた文字を見ていくと、武則天の前後の影響がよくわかる[1]。武則天が退位した705年3月3日[2]、復位した中宗は国号を唐に戻した。則天文字は公式には廃止され、私文書においてもだんだんと廃れていった。現在中国では全く使われていない。もっとも当時の武則天の威光は絶大だったようで、中国国外にまで伝わっている。また、昔からよく文字研究の対象になっている。

則天文字リスト

則天文字は、武則天が皇位に就いていた15年間(690年 - 705年)には中国で広く使用されており、それが遣唐使によって日本に伝えられ、8世紀から9世紀初頭ごろの八千代市白幡前遺跡の墨書土器の文字として使われたということは大変興味深いことです。

八千代市白幡前遺跡出土墨書土器で使われた則天文字

墨書土器に則天文字が使われているということは、墨書土器をつくるという行為が民衆サイドから起こった行為ではなく、行政サイド、官人サイドから集落(兵站基地)に持ち込まれたという性格を物語っています。

最新外来知識である則天文字を使いたいという官人の心情は、現代一部中央官僚のなんでもカタカナ語で物事を表現したいという心情と共通します。

2015年5月9日土曜日

花見川団地の立派な栗並木の出自

見知らぬ方から連絡をいただき、花見川団地にある立派な栗並木が鉄道連隊敷設軌道の枕木用に植えられたものであると言い伝えられていて、それを確かめ、その保全を図りたいという趣旨のお話をいただきました。

鉄道連隊の活動については常々興味を持っていますので(サイト「鉄道連隊の花見川架橋演習」参照)、調べてみました。

1 問題の栗並木
問題となっている栗並木の位置は次の場所にあります。

栗並木の位置
Google earthの過去空中写真による

3 米軍空中写真の情報

米軍空中写真(1949年撮影)

米軍空中写真では、問題の場所は林地の縁になっています。拡大して実体視しても並木はみつかりませんでした。

4 1960年代千葉市都市図

1960年代千葉市都市図
千葉市郷土博物館提供

1960年代千葉市都市図(航空写真測量地図)でも並木表現はありません。(並木のある他の場所では並木表現されています。)

5 結論
花見川団地の栗並木は鉄道連隊の軌道敷設とは関係なく、花見川団地建設以降の修景地物であることが確認できます。

栗並木のある付近の道路(その元は軌道)がカーブしています。

ドライバーの視線が直接建物に当るのではなく、栗並木に当るようにしてドライバーの運転心理を緩和しようという、団地設計者の隠された配慮が浮かびあがります。

栗並木が鉄道連隊と関係無いということで、「夢」が一つしぼんでしまいましたが、立派な栗並木は是非保全していただき、いつまでも花見川団地の風景を良くして、また、ドライバー心理を平静に保つ機能を発揮されるようにしていただきたいと思いました。