1 発掘調査報告書電子化の切実さ
現在上谷遺跡の検討を行っています。
遺構、遺物情報をGISに取り込み検討する方法をできるだけ徹底させて、それによって他の手作業ではなかなか得られない情報を得ようとしています。
全ての遺構位置、主な遺物数は全て出土遺構位置にプロットしました。
墨書土器情報も公表データベースを全て出土遺構位置にプロットしました。
遺構、遺物、墨書土器の分布状況を自由に地図化して、各項目間の関係の分析も可能となりました。
自分としては画期的であると自負しています。
同時に、当初予期しなかったのですが発掘調査報告書6冊を手元から離せなくなりました。
主な情報をGIS化すれば、発掘調査報告書は手元に置いておく必要はないと考えていたのですが、その見立ては完全に覆りました。
例えば、馬具の検討で、赤彩土器が関係するかもしれないと考えれば、赤彩土器の出土状況を知りたくなります。
遺構別出土土器数や詳しい墨書土器情報はありますが、「赤彩土器」という項目での情報はありませんから、新たにつくる(発掘調査報告書から読み取る)しかありません。
また、その検討のなかで、付着物のある土器が気になりました。「付着物のある土器」も発掘調査報告書の全ページをめくってデータをつくりました。(その結果漆工房群の存在を推定できるという幸運に到達できました。)
つまり、どのような切り口でデータを作るか事前に決まっているのではなく、その遺跡の特性で切り口が変わってくることに気がつきました。
発掘調査報告書に掲載されている情報はいわば無限であり、ある程度の代表項目をGIS化すればそれで検討は進むと考えた当初の考えは少し甘かったようです。
上谷遺跡の発掘調査報告書は全部で6冊あり、そのうち4冊は図書館から帯出して手元にあり、2冊は帯出できる図書館が存在しないので、必要部分をコピーして利用しています。
上谷遺跡の発掘調査報告書 2冊の必要部分コピーと図書館帯出4冊
全部で1500ページになる
そして、図書館帯出4冊は既にほぼ2ヵ月間手元にあります。(貸出期間2週間+更新2週間、返却1日後予約が無ければ同じことを繰り返すことができる)
これからまた数か月のあいだ繰り返し4冊の発掘調査報告書を帯出することはあるいは可能かもしれません。
しかし、紙の本をこれからも何回も何回もページをめくることはあまりに非効率で、机の上を本が占拠するで、できるだけ避けたい作業です。
その結果、発掘調査報告書6冊を電子化して、パソコン内部で閲覧利用することが自分のGIS検討にとって必須に近いほど重要であることに気が付いた次第です。
2 発掘調査報告書電子化の方法
●書斎にあるA3スキャナーは遅いので多量スキャンはあきらめざるをえません。
●スピードの速いA3スキャナーを外部で合理的な経費で利用できるかどうか検討することにします。
コンビニに置いてあるような通常複合機スピードより速い、書籍スキャン可能のA3スキャナーを探してみることにします。
図書館から借りた本なので、作業は自分で行う場合だけとします。
●高速A3スキャナーの外部利用が実現するまでの暫定措置として、カメラ撮影画像を利用してみます。
カメラ撮影なら1500ページ(シャッター数・ファイル数750)のスキャンを書斎で実行可能だと考えます。
スキャナーでの画像
スキャナー画像の拡大図
カメラ撮影の画像
カメラ画像の拡大図
目で読んで理解する、情報を得るというだけならカメラ撮影画像でも可能です。
しかし、図版は歪んでしまい引用等には使えません。
また、文字をOCRに読み込むこともカメラ画像は歪みがあるので困難です。
スキャナー画像の場合、傾きを補正すれば、歪みが少ないのでOCRが可能です。
3 著作権
個人利用なので、発掘調査報告書を全部撮影やスキャンしても著作権上の問題なしと判断します。
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