2018年8月8日水曜日

技術メモ 遺構配置図のGIS読み込み

発掘調査報告書に収録されている遺構配置図のGIS読み込み方法をメモしておきます。今現在はどんな地図でもGISに読み込みできる技術的自信がありますが、2~3か月もたつとその方法を忘れてしまい、このようなメモが大いに役立ちます。

1 遺構配置図のスキャン・調整
発掘調査報告書収録遺構配置図をスキャンしてjpgファイルにして、Photoshopで正立、画像鮮明化、グレースケールモード化等の調整をします。

2 座標系の確認とジオリファレンスポイントの設定

座標系の確認とジオリファレンス用ポイントの設定
例(六通貝塚)の座標系は平面直角座標系(9系)であることが発掘調査報告書に記載されています。図面に座標値が記入されていることが確認できます。
なお、六通貝塚では平成14年以前から発掘調査が行われていたので測地基準系が現在使われている世界測地系ではなく日本測地系であることが判断できます。
この例ではメッシュ交点の座標値が正確に判りますから、任意のメッシュ交点5点をジオリファレンス用ポイントとして設定しました。

3 ジオリファレンス用ポイントの座標値を読み込む

ジオリファレンス用ポイントの座標値を読み込む
図面に記載されている座標値からジオリファレンス用ポイントの座標値を読み込みます。

4 日本測地系→世界測地系に座標値を変換
地理院サイトにある日本測地系-世界測地系変換ページで座標値を世界測地系に合うように変換します。

地理院サイト内測地系変換ページ

世界測地系に変換した座標値
世界測地系に合わせた座標を用いて平面直角座標系(9系)で遺構配置図画像ファイルをQGISにジオリファレンスすれば、特別な問題がなければ画像ファイルを正確にQGISに読み込むことができます。

5 たまたま生じた問題
例(六通貝塚)の画像ファイルをジオリファレンスによりQGISに読み込むと下図緑図のように正確にプロットできません。

例(六通貝塚)を手順通り読み込み生れた問題(緑図 正確にプロットできていない)
GIS上で地図地物の座標差分を測定するとY座標、X座標ともに60mずれていることがわかります。
図面のメッシュ(20m×20m)に座標値を書き入れる時に3メッシュ分(60m分)ずれたことが想定できます。平面直角座標系(9系)の座標値は原点からの距離(m)で表現されていますが、緯度経度と違い数値そのものに馴染みがなく、確認が困難であるため図面作成作業の中でのケアレスミスで3メッシュ分ずれてしまったと想定できます。

6 発掘調査報告書のミスの補正
発掘調査報告書の座標値ミスを補正して世界測地系に再度変換した正確な座標値を求めました。

座標値ミスを補正してから世界測地系に変換した正しい座標値

7 QGISジオリファレンス
QGISジオリファレンス画面に画像ファイルを読み込み、設定したポイントをクリックして正しい座標値を書き込み(コピペ)します。

QGISジオリファレンス画面
この操作により画像ファイル(遺構配置図)をQGISに正確に読み込むことができました。

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