2020年7月17日金曜日

山形土偶による3Dモデル再現忠実性テスト

2020.06.20記事「カメラ焦点距離と3Dモデル再現忠実性」2020.06.23記事「数センチ程度小展示物の学習用3Dモデル資料について」の続きです。
加曽利貝塚博物館常設展展示山形土偶(千葉市加曽利貝塚)について焦点距離の短い広角撮影と焦点距離の長い望遠撮影の双方を行い、作成した3Dモデルの再現忠実性をチェックしてみました。

1 3Dモデル再現忠実性チェック

山形土偶3Dモデル再現忠実性チェック 1
上 焦点距離14.00㎜(35㎜判換算28㎜) 広角撮影
下 焦点距離150.00㎜(35㎜判換算300㎜)望遠撮影

広角撮影の方が望遠撮影よりぼやけていますが正面からみると極端な違いは感じません。

山形土偶3Dモデル再現忠実性チェック 2
上 焦点距離14.00㎜(35㎜判換算28㎜) 広角撮影
下 焦点距離150.00㎜(35㎜判換算300㎜)望遠撮影

3Dモデルを斜めから見ると広角撮影の目鼻口などの結像が不十分であることがよくわかります。結像にメリハリがありません。また「高さ」がありません。のっぺりした感じの結像になっています。3Dモデルの場合光学写真と異なり情報を計算してもっともらしく描画しているだけです。ありのままではなく、あくまでも近似的な像であるのです。

広角レンズによる撮影と望遠レンズによる撮影では対象物(山形土偶)に関する情報量が違うので、再現忠実性が異なるということです。

このことから、写真下の望遠レンズ撮影3Dモデルも光学撮影像と比べると完全な再現が行われていないということになります。3Dモデルといわれるものの原理は、どんなに精密機器を使ってもあくまでも近似的モデルです。近似的でも目的に対して実用的であれば有用であるということです。

山形土偶3Dモデル再現忠実性チェック 3
上 焦点距離14.00㎜(35㎜判換算28㎜) 広角撮影
下 焦点距離150.00㎜(35㎜判換算300㎜)望遠撮影

広角撮影像は正しく結像していません。横沈線がずれています。
実はこの3Dモデルは土偶から離れた場所にある石棒の3Dモデルを作成したとき、その3Dモデルの端にこの山形土偶が生成されていたので切り抜いて作成したオマケです。通常は広角撮影でもその対象物を目標に撮影すれば、これほどひどいものにはなりません。

参考 3DF Zephyr Liteの画面におけるカメラ表示
上 焦点距離14.00㎜(35㎜判換算28㎜) 広角撮影
下 焦点距離150.00㎜(35㎜判換算300㎜)望遠撮影
3Dモデル作成ソフト3DF Zephyr Liteではカメラの位置だけでなく画角も表示していることを知りました。

2 3Dモデル

みみずく形土偶と山形土偶 観察記録3Dモデル
みみづく形土偶:縄文後期安行2式、千葉市加曽利貝塚 南貝塚史跡整備第2調査区
山形土偶:縄文後期加曽利B3式、千葉市加曽利貝塚 南貝塚(Ⅴトレンチ)
撮影場所:加曽利貝塚博物館
撮影月日:2020.06.02
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 93 images

山形土偶(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル
縄文後期加曽利B3式、千葉市加曽利貝塚南貝塚(Ⅴトレンチ)
撮影場所:加曽利貝塚博物館 常設展示
撮影月日:2020.07.14
ガラス面越し
撮影 3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v.5.001 processing 39 images

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