専門家の方に教えていただいたWEBサイト「明治大学日本古代研究所」に所在する全国墨書・刻書データベース(CSVファイル)をダウンロードして、操作することによってデータベースの概要を観察しました。
墨書・刻書データは全部で約11万7千件あります。
その都道府県別内訳は次の通りです。
都道府県別墨書土器データ件数(リスト)
都道府県別墨書土器出土件数(グラフ)
都道府県別にみると、千葉県が21048件でダントツの1位です。
2位が福島県、3位が奈良県となります。
墨書土器最盛期は奈良時代から平安時代初期のようですから、丁度蝦夷戦争最盛期の頃です。
そうした時代背景から、墨書土器分布は蝦夷戦争に関わる官人活動の強弱(=律令国家の国家活動の強弱)と相関していると考えています。
千葉県は蝦夷戦争の戦略的兵站基地ゾーンであり、福島県は戦地の入口であり、双方とも律令国家の直轄領的位置づけがあったと想像しています。
千葉県や福島県で墨書土器出土が都奈良より多いのはこうした背景によると考えます。
約11万7千件のデータをアドレスマッチングにより地図にプロットしてみました。
全国墨書土器データ分布
九州~関東 墨書土器データ分布
関東~東北 墨書土器データ分布
関東 墨書土器データ分布
アドレスマッチングによるプロットですから正確なものではありません(※)が、分布の概略は知ることができます。
※ 平均して数百メートルの誤差があります。この記事掲載のような広域図では無視できます。
大局的に見ると古代道路に沿って墨書土器分布が連なっていて、私が興味を持つ古代駅路網と強く相関すると考えます。
駅路網検討の材料として使えると思います。逆に駅路網が戦争遂行という国家活動に果たした役割を検討する材料にもなります。
詳しい検討は機会を見つけてブログ本編で行うこととし、この記事では墨書土器データベースが公開されていて、簡単なGIS操作により簡易分布図を作成できるということを紹介するにとどめます。
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