2015年5月15日金曜日

千葉市人形塚古墳から出土した構造物法線

ブログ本編2015.03.29記事「古墳築造時の構造物法線(現場指示地割線)が出土したという事実を知る」で人形塚古墳の築造時構造物法線(現場指示地割線)について紹介しました。

最近、ある機会にこの人形塚構造物法線発掘を含む報告書を見つけることが出来、ざっと読んだところ、3月29日記事で自分が考えていたことが間違っていたことがわかるとともに、この法線を使った工事の仕方が少しだけわかりましたので、その訂正とメモを記事にします。

報告書は「千葉東南部ニュータウン35-千葉市椎名崎古墳群B支群-」(平成18年3月 独立行政法人都市再生機構・財団法人千葉県教育振興財団)です。

1 訂正
ブログ本編2015.03.29記事「古墳築造時の構造物法線(現場指示地割線)が出土したという事実を知る」で、空中写真から、構造物法線が構造物の法肩を表していると考えましたが、詳細図面を見ると、後円の外円、内円は法尻を、前方の4本の直線は外側が法尻を、内側が法肩を表していることがわかりました。
従って上記記事の考察は不適格なものでした。

2 構造物法線設置後の計画変更
出土した構造物法線と実際の構造物形状が前方部では合っていません。

墳丘計画線と盛土断面図
「千葉東南部ニュータウン35-千葉市椎名崎古墳群B支群-」(平成18年3月 独立行政法人都市再生機構・財団法人千葉県教育振興財団)より引用

報告書ではこの誤差について、構造物法線(墳丘計画線)設置後に設計変更があり、後円中心部を中心に前方部だけ北方向に約5度回転させたと検討しています。

その検討にもとづいて実際の構造物を図面上で設計変更前の状態で作ったと考えて見ると、次のようになります。

人形塚古墳の墳丘規格と設計線(修正後)
「千葉東南部ニュータウン35-千葉市椎名崎古墳群B支群-」(平成18年3月 独立行政法人都市再生機構・財団法人千葉県教育振興財団)より引用、一部塗色

構造物法線と実際の構造物がピタリと一致します。

なお、構造物は左右対称ではなく、東側の埴輪が乗るテラス(ピンク)が広く、またその上部の斜面(ブルー)が緩くなっています。
報告書では最初からこのように空間的演出を考慮して古墳が設計されていることをするどく指摘しています。

3 構造物法線を利用した工事の仕方
上記「墳丘計画線と盛土断面図」の盛土断面図では図が潰れて詳細が判りませんが、印刷物を拡大して仔細に検討すると、次のような工事進行の様子を模式的に推定できました。

外周計画線と内周計画線を利用した工事進行の想定

盛土アが先で、次に盛土イが行われたことがわかります。また、盛土アの内周計画線側は直立状の境になって区切られています。盛土イを行うために内周計画線を保全したのだと思います。

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