小字統計の構造を分析するための予備活動です。
出現数別の小字名数(表)
出現数別の小字名数(グラフ)
このうち、出現数が25以上の小字名は次の通りです。
出現数の多い小字名
最も出現数が多い小字名は宮前で61/20221出現します。次いで新山、宮下、前田、向山…と続きます。
出現数20以上の小字名は79あり、出現数×小字名の累計でもとめた小字数の割合は全体の12%になります。
出現数10以上の小字名は247あり、出現数×小字名の累計でもとめた小字数の割合は全体の23%になります。
出現数1の小字名は8574あり、小字数の割合は全体の42%になります。
この機械的に計算した統計から、小字というものは複数存在しているものと、単独に存在しているものの2種類から構成されていると考えることができると思います。
複数存在している小字名は、問題意識によっては有用な指標として使えるものが見つかると考えます。
最近では、香取、白幡、花輪などの指標性について検討しました。
出現数の多い小字名ほど関連情報が豊富に集まると考えられますから、指標性のあるものが見つかると、その有効性は大きなものがあると考えます。
例えば、上記出現数の多い小字名のうち長作の原義が「長裂く」であると考えると、台地に視点を置いて、台地が裂けるという情景を語っている言葉ですから、水田耕作民が谷津を語る言葉でないことは明らかです。
長作が花輪と同様に狩猟民のことばである可能性が浮かび上がります。
小字データベースが完成したあかつきには、複数存在している小字名から、長作に限らず多くの指標性のある小字名を抽出して、その有効性を検討することが考えられます。
また、語尾からみて出現数の多い小字名に着目するという問題意識もあります。
例えば、このブログでは「戸地名」について、興味を持ってきています。
2013.05.20記事「「戸」を構成する4つのイメージ」
2013.08.27記事「「戸(と、ど)」地名検討の中間報告」
など多数
戸地名とは「○○戸」という地名です。
木戸、井戸、出戸など意味が明確であるものを除くと、水戸、登戸、船戸などの他、1回性のものも含めて○○戸地名が多数分布し、多くが水面と陸地の接点部分に存在していたと考えられます。
戸地名は香取の海沿岸の古代地域開発と強く関連した地名であると考えます。
小字データベースが完成したあかつきには、検索が容易になりますから戸地名の検討が進展すると思います。同時に戸地名以外に語尾に着目した指標性のある小字名も見つかるかもしれません。
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