2015年10月26日月曜日

情報入手に関する懸案事項解決と若干の後味の悪さ

ブログ花見川流域を歩く本編で鳴神山遺跡の検討を継続しています。

この活動の中で、発掘調査報告書の情報を丸ごと入手することが懸案事項だったのですが、ようやく解決しました。

これで遺構や遺物の詳細の検討ができます。

これまでは、墨書土器データベースによる検討だけでした。

これから心機一転して詳細検討に入りたいと考えています。


懸案事項は解決したのですが、若干の後味の悪さも感じましたので、メモしておきます。

鳴神山遺跡の発掘調査報告書は3冊あり、そのうち図書館外に帯出できるのは1冊だけです。

鳴神山遺跡関連図書の所蔵館と利用制限

このブログでは発掘調査報告書のデータを必要に応じてExcelファイルに取り込み、GIS展開していますから、常時報告書がパソコンの前にあることが必須です。

ところが3冊の内AとBは持出しができません。またAとBを合わせると最低必要ページが600ページ以上になり、コピー分量的に逡巡してしまいます。またコピー箇所が報告書の50%以上になってしまいます。

萱田遺跡群では白幡前遺跡の報告書だけが持出しができませんでしたが、必要最小限部分のコピーを報告書50%以内でとり利用しました。コピーしていない箇所を確かめたい時は、近隣の八千代市立図書館や八千代市立郷土博物館で気軽な閲覧をさせていただきました。

鳴神山遺跡の検討は萱田遺跡群の検討とは状況が大いに異なり、資料利用の点で何とか状況を打開しないと、自分が望む作業が出来ません。

これまでは鳴神山遺跡の3冊の報告書の地図だけコピーして、情報は墨書土器データベースから得ていましたから、不十分さを感じながらも作業出来ました。

しかし、それも限界に達し、墨書土器以外の遺物検討のためにはどうしてもAとBの情報入手が必要であり、その方法を模索しました。

最初に、所蔵館に状況を説明した上で、図書の特別帯出制度等が存在しないか相談してみました。

千葉県立図書館からは、持出し禁止図書は個人利用では一切館外には出さない、行政利用では2冊ある場合のみ行政庁内利用に限って館外に出すとの回答を得ました。

図書発行元の千葉県教育振興財団文化財センターからは、図書は図書室のみの閲覧が可能で、館外持出しもコピーも不可であるとの回答を得ました。

結局、持出し利用の道は存在しないことがわかりました。

残された方法は、気が向きませんがコピーするしかないということになります。

図書館における図書のコピーは著作権の関係で1冊の本の50%までしかできません。

50%の意味は表紙、目次、裏書等を除く本文の50%という意味です。(国会図書館における運用)

ですから、表紙、目次、裏書等と本文の50%まではどの図書館でもコピー可能です。

AとBのコピー必要箇所はどちらも本文の50%をはるかに超えます。

結局、AとBともに必要箇所のコピーを千葉県立図書館で半分、国会図書館で半分行いました。

個人利用の範囲内ですから自分個人として著作権法に何ら触れていませんし、図書館サイドも同じように著作権法に触れていません。

しかし、なんとも後味の悪い資料収集になりました。

後味の悪さは必要とした経費や時間によるものではなく、発掘調査報告書という国民の知的財産を、その利活用がどんなに出来なくなってもかまわないから、ただひたすら物体としての本の書庫内確保に重点を置くという、県立図書館の郷土資料管理方法が時代にそぐわないと感じたことによると思います。

地域図書館(県立図書館)における郷土資料の硬直的利用規制は、本末転倒になっている部分が発生していて、常々時代に遅れていると感じています。

なお、コピー料金は県立図書館はA3見開き2ページ分10円(自分で機器操作)、国会図書館はA3見開き2ページ分51.8円(業者作業)でした。

これだけ気苦労して、また時間と経費もかけたのですから、当初の予定を越えて鳴神山遺跡の分析検討作業を徹底して行い、自分なりの検討成果(満足感)を得たいと思います。

花見川風景

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