2015年7月9日木曜日

墨書土器と地名との関係に関する興味


墨書土器文字と地名との関係に関する興味が熟成しつつあります。

いつか詳細検討をしたいと思っていますが、その概要をメモしておきます。

白幡前遺跡から墨書土器文字「草田」や「草」が出土しています。「草田」はカヤタと読み、現代大字名称「萱田」に比定されると考えられています。「草」もカヤと読み、萱田を意味する可能性があります。

また権現後遺跡から「村神郷」が出土しています。村神郷は古代地名(郷名)で、現代大字名称「村上」に比定されると考えられています。

上記事実から萱田(草田)と村上(村神)は8~9世紀には既に存在していた地名であることがわかります。

村神は村の神様のいる場所と考えると村の中心部を意味するように想像します。

「村」は自然発生的に生まれた集落ではなく、権力によって計画的に配置された集落を意味する用語であると考えることができます。

ですから、古墳時代に権力によって村神が平戸川(現在の新川)東岸に設置されたと考えます。
その後、村神という地名で指す場所が広域になり、平戸川西岸も含めて郷名になったと考えます。

草田は荒地とか未開地を意味すると想像します。

草田は計画的に配置された村神からみると荒地・未開地・辺境地という意味合いの土地であったと考えます。

墨書土器が作られる8~9世紀に使われていた地名に、8~9世紀以前(つまり古墳時代)の地域構造を示す2つの地名、つまり計画的に配置された集落中心部地名とその辺境地地名がみえることは大変興味深いことです。

そして、なにより、8~9世紀の萱田遺跡群(白幡前遺跡、井戸向遺跡、北海道遺跡、権現後遺跡)がその当時の辺境地である草田(萱田)に立地することが、萱田遺跡群の性格をよく物語っている貴重な情報であると考えます。

奈良時代になって蝦夷戦争のために計画的に配置された軍事平坦・輸送基地(=萱田遺跡群)の場所が、当時の草田(カヤタ)と呼ばれる未開地だったのです。

8~9世紀に広域地域村神郷の行政中心地は平戸川東岸にあったと考えます。一方萱田遺跡群には寺院や接待施設(ハマグリ大量出土)、陰陽師関連墨書土器文字などが出土し、律令国家中央と強く結びついた特性(軍事基地の特性)がみられます。

この2つの地名(村神と草田)の場所の機能の違い、権力上の優劣、それぞれの支配指導層の出自の違いについて興味がわきます。

支配指導層が異なるのか、同じなのかだけでも分かれば面白いと思います。

村上込の内遺跡と白幡前遺跡の墨書土器文字を詳細に比較分析すれば、支配指導層の違いがわかるかもしれません。

花見川風景

2015年7月8日水曜日

いまさらのPhotoshop基本機能活用

いまさらのことですが、Photoshopの基本機能に気が付き、作業の効率化が進むようになりましたので、メモしておきます。

自動車教習所に行かないで自動車運転しているのと同じような状況でPhotoshopを使っていることに気が付きました。
自動車の場合、危険な行動で世間の監視がありますが、パソコンソフトの場合は人に迷惑をかけることなく、自分の非効率だけの問題ですから、いつまでたっても気が付かなかったのです。

1枚の画像の中から複数の画像を切り出したい時の作業方法

●これまでの方法
1 元画像をPhotoshopに取り込む

元画像をPhotoshopに取り込んだ画面

2 元画像から最初の画像1枚を切り抜き、別名で保存する

切り抜いた画像を別名で保存する画面

3 保存したファイルを閉じ、あらためて元画像をPhotoshopに取り込み、次の画像を切り抜き、保存する
この操作を次々に繰り返す。

●いまさら気が付いたPhotoshop基本機能活用
1と2は同じ

3 (保存が終わった後、その画面で)「編集」→「1段階戻る」をクリックして元画像に戻る

保存が終わった後、その画面で「編集」→「1段階戻る」の画面

「1段階戻る」をクリックすると元画面に戻る。

戻った元画像の画面

4 戻った元画面で次の画像切抜を行う
戻った元画面で次の画像切抜を行い、別名保存する。
さらに「編集」→「1段階戻る」で3つめの画像切抜を行う。

いまさら気が付いた方法で行えば、いちいち元画像を取り込むという面倒な手間が省けます。

これまでも「1段階戻る」は操作をやり直す時に使っていたのですが、いったん「保存」してしまうと、パソコンのメモリーからは元画像の情報が消えてしまい、もう元画像には戻れないと強く思い込んでいたというお粗末な話です。

なお、切り抜いた画像を様々な調整(角度変更、色調補正等)を行って保存しても、「1段階戻る」を何回かクリックすると元画像に戻ります。

2015年7月5日日曜日

Google earthの3Dビュー画像による実体視

自分にとっては驚くべき発見です。

Google earthの3Dビュー画像を視点を移動してつくれば、実体視可能になることを初めて知りました。

ブログ本編の2015.07.05記事「八千代市権現後遺跡は古代の土器生産工業団地」でGoogle earthの3Dビュー画像を用いたのですが、最初どうしてもいつもできた3Dビュー画像をつくることが出来ませんでした。

その理由が判らなくて、webで調べている時、Google earth の3Dビュー画像を視点を移動してつくれば、実体視できることを幾つかのサイトで偶然知りました。(3Dビュー画像は「レイヤ」の「地形」にチェックが入っていなかったためできなかったのでした。)

早速試してみました。

次の2枚の3Dビュー画像は八千代市権現後遺跡付近で、視点を左右方向に若干ずらしてあります。

Google earth 3Dビュー画像 1

Google earth 3Dビュー画像 2

この二つの画像を並べてみました。

Google earth 3Dビュー画像1と2

重複する部分を、右側の画像は右眼で、左側の画像は左眼で見ると、その部分が実体視できます。

近景から遠景まで思った以上に迫力ある実体視ができます。

パソコンが論理的思考を補佐する道具としてだけではなく、感覚的体験の道具としても有用であることを改めて思い知らされます。

時間が生まれた時に、Google Chromeの新拡張機能「Earth View from Google Earth」で見つけた迫力ある世界の地形をこの方法で実体視してみたいと思います。

「Earth View from Google Earth」が単なる美しい平面模様から迫力ある立体地形情報に変わります。

2015.07.01記事「Google Chromeの新拡張機能「Earth View from Google Earth」」参照

2015年7月3日金曜日

2015年6月のふりかえり

ブログ「花見川流域を歩く」とブログ「花見川流域を歩く番外編」の2015年6月の活動についてふりかえります。

1 ブログ「花見川流域を歩く」
●萱田地区遺跡の検討について
八千代市白幡前遺跡の検討の後、同じ萱田地区の井戸向遺跡、北海道遺跡、権現後遺跡と検討を継続しましたが、この判断は的確だったと考えます。

一時、井戸向遺跡、北海道遺跡、権現後遺跡の検討は白幡前遺跡が代表したとして、省略して、別の遺跡に検討対象を移動させようとも考えたのですが、そうしなくてよかったと思います。

白幡前遺跡が萱田地区の中心的遺跡であり、その検討方法を踏襲して近隣遺跡を検討することにより、4遺跡の比較が出来、遺跡に対する認識を深めることができたと考えています。

●検討指標について
建物や墨書土器に関連して、自分でオリジナルに開発した検討指標を4つの遺跡に適用することにより、指標の有用性を確認できました。

また指標の改良について問題意識を持っていますので、今後指標改良について記事を書く予定です。

●小字データベース作成について
小字データベース作成について6月の作業で高効率作業を実現し、個人で千葉県小字データベースを完成させる展望を持つことができました。

今後小字データベース作成領域を順次計画的に拡大するとともに、質向上のための施策を同時に講じていきます。(電子化に起因する誤字等の徹底チェック)

2 ブログ「花見川流域を歩く番外編」
●勝手気ままな記事内容について
記事内容は勝手気ままとして、記事と記事の間に関連性をもたせていませんが、このようなブログにしたことで、大変良かったと思います。
気が付いた興味について「乗り」の勢いで即興で記事を書くようになりました。
熟考することが多い本編ブログと両立する展望を持ちます。

●視野の拡大について
本編ブログは花見川流域にこだわり、東海道水運支路にこだわっています。このこだわりはアイデンティティでありいつまでも継続します。
一方、発生した興味を千葉県全体、日本全体、世界全体に自由にあてはめてみることが番外編ブログでできます。
例えば墨書土器のデータについて千葉県全体、日本全体を対象に検討して何度か記事にしましたが、とても視野が広がります。
番外編ブログを自分の視野拡大道具として活用したいと思います。

3 ブログ活動に関連する出来事
●メインの外付けハードディスクが突然壊れたのですが、備えが良かったので、被害を極限することができました。

参考 ブログ「花見川流域を歩く」の2015年6月記事
◇はアクセス数が多かったもの。○は私自身のお気に入り。
参考 ブログ「花見川流域を歩く番外編」の2015年6月記事
◇はアクセス数が多かったもの。○は私自身のお気に入り。


花見川の早朝風景

2015年7月2日木曜日

識字率指標としての墨書土器出土数

墨書土器出土数からその時代(8世紀~9世紀頃)の識字率分布を見ることができるのではないだろうかと考えています。

1 墨書土器出土数を指標とした識字率
次の表は千葉県古代遺跡における墨書土器出土数の上位50までを並べた表です。

千葉県墨書土器出土数上位遺跡リスト

このリストの分布図を作成すると次のようになります。

墨書土器出土数上位遺跡の分布
分布は正確にプロットしたものです。

この分布図を古代における住民の識字率分布に相関する情報として捉えることができるのではないかと考えます。

識字率分布そのものではありませんが、遺跡がプロットされた場所は他の場所より識字率が高かったと考えられます。

この分布図は上位50位までの情報ですが、情報を全遺跡に拡大して、数値を分級してプロットすることも可能です。

2 竪穴住居1軒当り墨書土器出土数を指標とした識字率
1軒の竪穴住居跡にある一定数の人口が存在したと想定すると、墨書土器出土数/竪穴住居跡数(墨書土器対対竪穴住居出土率(S))は人口当たり墨書土器出土数に見立てることができます。

単純な墨書土器出土数より、この指標の方が識字率の指標としてより適切であると感じます。

次の表は萱田遺跡群の遺跡ゾーン別の墨書土器出土数/竪穴住居跡数(墨書土器対対竪穴住居出土率(S))等の数値です。

萱田遺跡群の墨書土器対対竪穴住居出土率(S)と分級基準

この分級結果を北海道遺跡について示すと次の様になります。

ゾーン別墨書土器対竪穴住居出土率(S)

ゾーン別では詳細すぎますので、遺跡別に千葉県全古代遺跡の竪穴住居1軒当り墨書土器出土数を求め、それを分布図化すれば、古代の千葉県識字率分布により近い情報が得られると考えます。

3 出土土器100個当たり墨書土器出土数を指標とした識字率
遺跡における全墨書土器出土数/全出土土器数×100を求めれば、土器における墨書土器の%を求めることになります。

識字率が100%ならば、墨書土器の%は100になるという関係ではないですが、識字率が高ければ、墨書土器の%も高くなるという関係があると考えます。

次の表は「八千代市白幡前遺跡-萱田地区埋蔵文化財調査報告書Ⅴ-本文編」(1991、住宅・都市整備公団首都圏都市開発本部・財団法人千葉県文化財センター)の中の竪穴住居別出土物一覧例です。

出土物一覧の例

このような復元土器単位の墨書存否情報があるのですから、出土土器100個当たり墨書土器出土数を求めることができます。

遺跡別に出土土器100個当たり墨書土器出土数を求める作業を行ない、その分布図を作成すれば、より正確な古代識字率分布情報を得ることができると考えます。

識字率分布情報が判れば、律令国家が人々を教育して高度な業務を実施した場所が判ることになります。

2015年7月1日水曜日

Google Chromeの新拡張機能「Earth View from Google Earth」

Google Chromeに新しい拡張機能「Earth View from Google Earth」が公開されたことをニュースで知り、試してみました。

設定から拡張機能に入り「Earth View from Google Earth 2.8.1」を有効にすると、新しくGoogle Chromeを起動する毎に、あるいは新しいタブを開くたびにGoogle Earthの写真がランダムに表示されます。

これまで、私の設定であったGoogle検索画面に変わって、Google Earthの写真がランダム表示されるように変わったのです。

私の場合はGoogle Earthの印象的な写真に強い興味がありますので、この設定をデフォルトにしました。

Google Earthの写真例1
写真右下に位置が地図と文字で表示されています。
オーストラリア西部の地形

Google Earthの写真例2
シベリアの地形

Google Earthの写真例3
オランダの運河閘門

写真は全て垂直写真です。
この写真画面から、写真を次々に手動や自動でランダム表示することもできます。ダウンロードやリンク情報取得もできます。

私の場合、地形に興味がありますので、乾燥地域や極地の地形が豊富に含まれているこの写真集(1500枚)を眺めていて飽きません。南北アメリカ、アフリカ、中近東、中央アジア、ヨーロッパ、南太平洋、オーストラリア、南極などの地域の写真が多くなっています。日本の写真はまだ見つけていません。

恐らく、パソコンに向かっていて、気力が萎えた時にこの写真をいくつか見て、気持ちをリフレッシュできるのではないかと期待しています。

なお、Google Earthにも新しいレイヤ「Voyager」ができました。

Google Earthの新しいレイヤ「Voyager」の最初の画面
Google Earthを立ち上げると、Voyagerの立ち上げを聞いてきます。またレイヤの中に既に組み込まれています。

レイヤ「Voyager」には世界中の見どころが表示されていて、自分で探してあるいはツアーで楽しむことができます。多様な工夫が凝らされています。立体表示の写真も多く含まれています。

実際の海外旅行では決して行けない場所を次々に観光(観察)できるので、素晴らしいレイヤです。

実のところは、レイヤ「Voyager」が親で、それから得られる絶景写真の厳選したものが、子どもの「Earth View from Google Earth」写真です。

Google Chromeの新しい拡張機能「Earth View from Google Earth」とGoogle Earthの新レイヤ「Voyager」はGoogle earth公開10周年記念として昨日公開されたようです。

2015年6月30日火曜日

パソコンソフトスキルの練度向上について

1 パソコンスキル練度向上が課題

パソコンソフトスキルの熟練度向上について意識することが多くなっています。

パソコンソフトスキルの熟練度上下によって、扱う情報量の大小や質の上下に大いに影響することを日々実感します。

最も単純な例を次にあげます。
エクセルで数百のデータを扱う場合、その中の空白行を削除する必要が生じた場合、これまで私は一つ一つ手作業で削除してきていました。少し時間がかかりますが、ノープロブレムでした。

ところが、数千とか数万とか十数万のデータを小字とか墨書土器で扱うようになると、上記のような手作業では到底間に合いません。
より合理的なスキルを探して使います。

その多数空白行一括削除スキルを毎日使うのならば、全く問題はありません。

実際はそのスキルを2週間後とか1ヶ月後に使うことになります。

その時、そのスキルを忘れていて、webやマニュアルを探して、初めからやり直しになってしまうことが多くあります。

とても非効率です。

スキルをすぐに使えれば、数千とか数万とか十数万のデータをスムーズに扱うことができて、検討の質も向上します。

このような単純な例ではなく、もっと複雑な例になると、以前実現したスキルをどうしても復活できないようなこともあります。

そのような場合、自分の心理がぼやぼやしていると、億劫感から以前実現していたスキルを使わない安易な方法で切り抜けようとしてしまう恐れさえあります。扱うデータ量が少なくなり、検討の質が低下してしまいます。

このような体験からパソコンソフトスキルの練度向上が自分の課題となっています。

なお、私の場合、パソコンソフト特定機能実現操作から2週間遠ざかると、その操作をそのまま空で実現することができない場合がほとんどです。忘れてしまうのです。40歳代、50歳代でも同じような状況でしたから、加齢による機能低下というより、私の記憶力の本来性能限界が2週間程度であると考えています。

2 練度向上が必要なソフト
次のようなソフトのスキル練度向上が自分の課題になっています。

WZエディタ
Excel
File Maker
Photoshop
Illustrator
地図太郎PLUS
QGIS

ソフトのアイコン

3 練度向上策
次のような練度向上策を今後執りたいと考えます。

3-1 操作手順情報の蓄積
これまでも、webで見つけた操作手順などは画面をpdf化して、題目をファイル名に書きこんで、ソフト毎に整理して、後からすぐに閲覧できるようにしていますが、これを徹底します。

自家製マクロによる複雑な手順などは、ステップ毎の画面を細かく画像で記録して、後で参照しやすくします。

これまでは、その時はできるのですから、後で記憶が薄れた状態を想起できなくて、詳細な記録を残すことはついついサボってきました。その結果、後で苦労してしまいます。

3-2 練度維持のための記事作成
パソコンスキルの練度を維持するために、そのスキルを使った記事を書くことにします。

いままでは、このように考えることは倒錯していると考えていました。
パソコン技術を楽しむために何かのテーマを借りてブログ記事を書くなどとんでもないということです。

しかし、パソコン技術が高度になれば質の高いブログ記事が書けるに違いないと判ると、趣味活動プロセスの中ではパソコン技術向上のためにその練習を兼ねて(練度を維持するために)記事を書くということは大切であると考えるようになりました。

幸い、このブログ「花見川流域を歩く番外編」という舞台があります。

番外編ですから自由です。

番外編では、パソコン技術向上や練度維持のための記事も書いていくつもりです。
もちろん、そのコンテンツはそれ自体本来の意味(インタレスト)があるのですが、自分の内面では、スキル向上や練度維持を兼ねているということです。

3-3 より高次のスキルの積極的習得
必要に迫られた範囲内のスキル習得だけではなく、もっと積極的にそのソフトの高次スキルを習得するように心がけします。

高次スキルを習得してしまえば、それより低次のスキルはいつの間にか身についてしまいます。

今は2週間後には忘れてしまうようなことも、今より高次のスキルが身に付けば、もう忘れなくなります。

2015年6月28日日曜日

大一(タイイツ)学習のきっかけをゲットする

墨書土器の組文字「大の下に一」が八千代市白幡前遺跡で2Cゾーンを中心に42、八千代市権現後遺跡でも2出土しています。

八千代市白幡前遺跡2Cゾーン出土墨書土器文字「大の下に一」の事例

この組文字を「大一」(タイイツ)と理解し、陰陽師が重要視する太一星(タイイツセイ)[=北極星]と考えました

そして、八千代市白幡前遺跡2Cゾーンは「大一」が集中出土することから、陰陽道を信奉する集団の拠点であると考えました。

すぐ近くの2Aゾーンに寺院施設があるので、2Cゾーンには陰陽寮施設があったのではないだろうかと想像しました。

ブログ本編 2015.05.14記事「八千代市白幡前遺跡 墨書土器の文字検討 その4」参照
ブログ本編 2015.05.15記事「八千代市白幡前遺跡 墨書土器の文字検討 その5」参照

八千代市白幡前遺跡2Cゾーンから墨書土器文字「式」が出土していますから、2Cゾーンが陰陽師活動ゾーンであるとする考えの駄目を押したと考えました。

墨書土器文字「式」
八千代市白幡前遺跡
「千葉県の歴史 資料編 古代 出土文字資料集成」から引用

極めて興味深い新発見です。

しかし、残念ながら自分は陰陽師に関して知識ゼロの状態で、これ以上、このインタレストを発展展開できる情報を全く持っていませんでした。

いつか学習を深めたいと考えていました。

昨日、たまたまぶらりと寄った書店で何気なく次の図書をパラパラめくってみました。

斎藤英喜著「陰陽師たちの日本史」(角川選書)

もしかしたら「大一」がどこかに出ているかもしれないと期待したのですが、関係しない記述ばかりだからと本を棚に戻す最後の瞬間に、「太一」(たいいつ)の文字が目に飛び込んできました。

式盤を使う占いを「式占」(しきせん)という。式盤の特性から太一(たいいつ)、遁甲、六壬(りくじん)という三つの種類がある[小坂眞二・2004]。」という記述です。

自分が探したという感覚ではなく、天から与えられたという感覚で「大一」学習のきっかけを得ることができました。

図書に参考文献リストがあるので、早速図書は購入しました。

善は急げとばかりに、本日図書館にでかけ、次の図書を借りだしました。

小坂眞二著「安倍晴明撰「占事略決」と陰陽道」(汲古書院)

斎藤英喜著「陰陽師たちの日本史」(角川選書)より詳しい説明がありました。陰陽道の中で占める大一のポジションが少しわかってきました。

大一それ自身の詳しい情報は小坂眞二著「安倍晴明撰「占事略決」と陰陽道」(汲古書院)にはありませんが、自分にとっては大一学習の最初のきっかけをえることができました。

太一、遁甲、六壬という3つの式盤名称が判っただけでも、関係webサイトや関係専門図書情報にアクセスできるようになりました。

突破口が開けたので、大一学習を進め、八千代市白幡前遺跡の意義についての検討を深めたいと思います。

2015年6月27日土曜日

歴史文字史料としての小字と墨書土器文字の特性比較

予定調和的にそうなるように意図したのではないのですが、結果的に小字データベースと墨書土器データベースを趣味活動の材料として同時に扱うようになりました。

双方とも歴史に関わる文字史料です。小字は以前から、墨書土器は今年の春から興味を深めています。

そこで、双方とも多数の文字史料を扱うのですから、その特性の違いについて知っておくことが必要だと思い、初歩的な統計的比較をしてみました。

1 小字総数・小字名称総数・出現回数別小字名称数
6市域(千葉市、佐倉市、四街道市、八千代市、習志野市、船橋市)を例にとり、小字総数・小字名称総数・出現回数別小字名称数をグラフにしてみました。

6市域の小字総数・小字名称総数及び出現回数別小字名称数

小字総数・小字名称総数・出現回数別小字名称数の関係は、対象地域を広げてもこのグラフでみるような関係と大幅に異なることはないだろうと想定してます。

小字総数7709に対して、出現する小字名称総数は4892です。その割合は63.5%になります。

さて、ここで、関心分割率という概念を新考案し、使うことにします。
関心分割率とは、人がある母数に固有名称(文字)をつけて認識・利用している場合、次のように定義することにします。

母数が100あって、全部に固有の名称を与えたとすると、母数を100の関心で分割したことになります。この場合を関心分割率100%とします。

母数100に対して、名称の重複があり、固有名称数が50ならば、関心分割率が50%であるとします。その分野で人の関心(興味)が50あり、それに対して母数は100ですから、母数100を50の関心で分割して認識・利用している状態です。

小字の関心分割率は63.5%ということです。

2 墨書土器(釈文有)史料総数・同一釈文総数・出現回数別釈文数
千葉県墨書土器データベース(明治大学日本古代学研究所)のうち、釈文が不明なものを除き、何らかの意味を記載した史料を対象に、史料総数・同一釈文総数・出現回数別釈文数をグラフにしてみました。

千葉県の墨書土器(釈文有)史料総数・同一釈文総数及び出現回数別釈文数

墨書土器(釈文有)史料総数13639に対して、同一釈文総数は3419ですから、関心分割率は25.1%になります。

墨書土器文字の関心分割率は低く、小字と大いに異なります。

3 小字と墨書土器文字の関心分割率の違いの考察
小字と墨書土器文字の関心分割率をグラフで並べてみると次のようになります。

母数に対する関心分割(名称数・釈文数)割合

また、母数に対する1回出現データの割合をグラフにすると次のようになります。こ

母数に対する1回出現データの割合

小字は土地の自然的・歴史的特性の違いや名称を与える側の社会的特性の違いによって視点が細分化され、関心分割率が極めて高い事象であると考えます。1回出現率も約50%です。

人が生活する上で、土地の固有性理解が必須であるという生活原理があるのだと思います。

小字は社会集団の中で生まれたものですから、生れた当初に思いつきのもの、自然的・歴史的・社会的特性を的確に表現していないもの、社会が必要としないものは廃棄されたと考えます。
生まれた当初に社会的淘汰が行われ、合格点に達したものだけが残ったと考えます。一度残るとその後意味が忘れられても土地の固有性理解の必要性からずっと使われたと考えます。

一方、墨書土器文字は関心分割率が低い現象です。1回出現率も16.9%にしかすぎません。

墨書土器は個人が使った道具であると考えます。個人個人の関心(興味)毎は社会生活の中で、お互いに共通する部分が多いことは当然です。

社会にとって土地の固有性理解は必要ですが、個人個人にとって自分の関心(興味)毎の固有性(独自性)はさほど必要としません。いつの時代にも興味の流行があり、同じ関心(興味)が人々を捉えます。

同じ歴史性のある文字史料でも小字と墨書土器文字ではこのような違いがあることを認識しました。

この認識から次のような思考を続けることができます。

小字名称で多出するものは、お互いに影響力の及ばない遠隔地で、たまたま同じような状況下で生まれたと考えます。
逆に考えると、多出小字名称の背後には同じような状況が存在していたと推定できます。

ア地点の小字名称Aの背景が判れば、イ地点、ウ地点…の小字名称Aの背景が芋づる式にわかる可能性があります。
この関係は名称の一部(例○○部、○○屋敷など)についてもいえると考えます。

墨書土器文字は社会的流行に強く影響を受けて書かれたものであると考えられます。

墨書土器の文字共通性に着目すれば、社会流行の範囲を推定することができると考えます。遺跡間交流の実態が判明すると考えます。また文字内容から流行の趣旨(風潮)も推定することができると考えます。

2015年6月25日木曜日

出現数上位の小字名称を知る

花見川流域に係る6市(千葉市、佐倉市、四街道市、八千代市、習志野市、船橋市)の小字地名データベースが既に完成していますので、小字名称の出現数をカウントして、出現数上位の小字名称を調べてみました。

6市の小字数は7709件あります。
この中から同じ名称を名寄せしてカウントする技術は以前は持っていなかったのですが、墨書土器データベース約12万件を扱う中で、エクセルの関数を利用して出現数をカウントする技術を身に付けました。
早速その技術を小字地名データベースにも応用してみました。

小字としてどのような名称が多いか、データベースがないのですから、統計的な検討はこれまで、社会的にほとんどないと思います。

従って、この記事で紹介するような情報は社会初出だと思います。

6市小字7709件のうち、出現数の多い小字をグラフで示します。

6市域の出現数上位20位までの小字名称

1位から10位は次の通りです。
前田、新山、堀込、町田、大作、大山、上谷津、一丁目、台畑、長作

11位から20位は次の通りです。
本郷、新田、宮田、花輪、出戸、向原、内野、二丁目、宮ノ下、前畑

同じ地名は同じような状況下で生まれたと考えることができますから、多出する小字名称は多数地点の比較検討が出来るということから、その地名の意味や背景を深めることができる可能性をはらんでいると考えます。

上位20位までの小字のうち、このブログでこれまで検討したことのある地名として花輪をあげることができます。花輪は縄文語起源と想定している重要な検討対象です。その花輪が17件出現したのですから、将来の花輪検討が楽しみです。

上位20位の地名に「前」「内」「大」「新」の文字が含まれていることに注目できると考えます。

前田、前畑、内野はその田、畑、野の所有関係を地名に投影した言葉であると考えます。「前から自分のもの」「手前(自分)のもの」「集落の領域の内側にあるもの」など。そうした所有関係を強調する必要性や背景が、多数地点の比較から判れば面白いと考えます。

大作、大山、台畑(=大畑)などは収穫物の多い耕作地やそれから連想される富裕さを表現していると考えます。実際にそうなのか、多数地点の比較からなにか言えれば面白いと考えます。

新山、新田は新たな開発地を表現していると考えます。

堀込、町田、長作、本郷、宮田、出戸、向原、宮ノ下などの名称もそれぞれその意味を絞り込むことができると考えます。